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乳がん体験記 森さん編①乳腺症だと思ったら乳がんだった 

左の乳房にしこりがある、と気づいたのは、40歳を目前にした春先のことでした。もともと私は、乳腺症気味で、生理前などは特に、硬いしこりのようなものが、乳房全体にごつごつとできていました。

しかし、何となくいつものごつごつした感じとは違ったのです。いつもの、全体的に大きくごつごつした感じより、小さいながらはっきりとした、より硬いものでした。乾燥豆……小豆か大豆が、そのまま入っているような感じでした。

でも、きっと、乳腺症のひとつなのだ……生理が終われば、消えるに決まっている。そう、自分に言い聞かせていました。そして、その月の生理が始まりました。乳腺症気味の乳房も、この期間はやわらかくなります。しこりのことは、気にしないようにしていましたが、不安はぬぐえませんでした。どうか、消えてなくなっていますように。恐る恐る、乳房のしこりを見つけた部分を触ってみます。

ありました。

乳房全体的にごつごつしていたものはやわらかくなっているのに、その部分にだけ、はっきりと硬い豆のようなものが存在しているのです。

……まだ、生理が始まったばかりだから、終わる頃には、なくなっているだろう。そう思うようにしていましたが、生理が終わっても、しこりがそこにあるだろうということは、何となくわかっていました。そして、その通りだったのです。ため息とともに、やっぱりあった、という感じでした。

心配しているより、診てもらった方がいい。あと1ヶ月もすれば、がん検診の時期になるから、その時に診てもらおう。市から届く検診受診券を使えば、500円で乳がん検診を受けることができます。ですから、それを利用するつもりでした。私は、毎年、かかりつけの婦人科クリニックで、乳がん検診と子宮がん検診を受けていたのです。

半年前にも乳がん検診を受けたばかりで、結果は異状なしでしたから、まさか乳がんではないだろうと思いながら、クリニックに予約を入れました。そのクリニックには、20代の頃から生理痛でお世話になっていました。近年では、不妊治療にも通い、おかげで娘を出産することができました。

はっきりとものを言う先生で、敬遠する人もいるようですが、私は信頼していました。数年前のがん検診の時にも、首のしこりが気になるのでついでに診てもらったことがあります。その時は、リンパの腫れで、全然気にすることないとのことで、先生は笑っていました。

またしこりが気になる、と伝えたら、笑われそうで恥ずかしいな、なんて思いながら、私「1ヶ月くらい前から、しこりがあるんです」と検診の際に思い切って伝えると、

医師「これ?」

やっぱり笑いながら触診していましたが、

私「違います。こっちです」

私が指した方へ触れると、先生の表情が真剣になりました。

医師「何か、あるね」

笑われるかと思っていましたが、笑い事ではないみたいでした。

医師「検診ではなく、診察に切り替えて、エコーで見てみましょう」

急遽、エコー検査をすることになりました。エコーで確認すると、しこりが2つある、とのこと。自覚していたのは1つだけでしたから、びっくりしました。ただ、悪性か良性かはエコーではわかりません。

クリニックには、マンモグラフィーの機械がありませんでしたので、大きい病院で検査を受けることになりました。「市内には、乳がんの専門医がいる病院が2つあります。がんセンターと、総合病院、どちらにしますか?」と、聞かれ、夫の入院や私の出産でお世話になった総合病院の方を希望しました。

すぐに紹介状が用意され、クリニックから病院に仮予約を入れてくれました。不安そうな顔をしていた私のことを思って、先生が最後に、こう言ってくれました。

「大丈夫。安心するために、念のために行くだけだよ。移転して新しくなった病院を、見ておいで」

その言葉に、私の緊張もほぐれていきました。

続きは「乳がん体験記 森さん編②マンモグラフィーでは癌は発見されず」

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