海老蔵さんが妻である麻央さんの病状を「進行性乳がん」と説明しましたが、この進行性乳がんとはどんな癌なのか。
進行性乳がんには「局所進行乳がん」と「転移性乳がん」の2つがあります。
「局所進行乳がん」の特徴は
〇乳房から脇の下のリンパ腺にかけて、5センチ以上の「しこり」が現れる乳がんで、痛みや出血を伴います。
〇癌のステージで言えば3で、癌が皮膚表面にまで現れてきます。
〇進行速度(転移)が速いため、外科的手術が出来ないことが多く、抗癌剤や放射線治療が主に行われています。もちろん、人によって違いますが、6か月ほどの抗癌剤で癌が小さくなれば外科的手術が出来るケースもあります。
「転移性乳がん」の特徴は
〇名前の通り、発見時には既に他の臓器、骨、脳に転移しています。
〇ですので、外科的な手術は行わず、抗癌剤治療が主になります。
〇癌のステージで言えば4(末期)ですので、「局所進行乳がん」よりステージが上です。
海老蔵さんは麻央さんが1年8か月前から抗癌剤治療を受けていることを明かしていますので、恐らくですが麻央さんの乳がんは転移性乳がんである可能性が高いです(転移性乳がん(ステージ4)の5年生存率は42%)。
長期間の抗癌剤投与は他の臓器に転移しているためと考えるのが自然です。
しかし、まだ転移性乳がんと決まったわけではなく、局所進行乳がん(ステージ3)であれば5年生存率は75%以上あります。
私の父親は悪性リンパ腫で余命6か月(ステージ4)の宣告をされましたが、今年で10年生きています。
ですので、あくまで生存率は目安であり、それ以上生きることは珍しくありません。
乳がんの2つのタイプ
乳がんには2つのタイプがあり、一つはエストロゲン(女性ホルモン)が原因の乳がんです。これは乳がんの細胞がエストロゲンを取りこんで、癌細胞の増殖を促すためです。このタイプの乳がんの治療はホルモン療法を行います。
このタイプの乳がんの原因はエストロゲンですので、このホルモンを作らせないようにしたり、乳がん細胞がエストロゲンを取り入れないような治療がホルモン療法です。
女性ホルモンが関わっている乳がんが全体の8割ほどを占めていて、北斗晶さんの乳がんがこのタイプです(参考記事「北斗晶さんはマンモグラフィ検診で乳癌に??」)。
もう一つは女性ホルモンが関わっていない乳がんです。これは遺伝です。アンジェリーナ・ジョリーさんが2013年に乳房を摘出したことは記憶に新しいですが、なぜ乳房を取ってしまったのか。それは「BRCA1遺伝子の変異」を持っていたからです。
これらのことは「アンジェリーナ・ジョリーが持つBRCA1遺伝子変異とは」で説明したので、こちらを参考にしていただきたいのですが、BRCA1遺伝子の変異があると通常より発がん率が高くなります。
アメリカ国立がん研究所によるとBRCA1遺伝子の変異による乳癌は全体の5%から10%、卵巣癌は15%です(日本人の場合も同じような確率だと言われています)。
ジョリーさんの場合、母の家系がこのBRCA1遺伝子変異を持っていて、母親は50代半ばに乳癌で、祖母は40代に卵巣癌で亡くなっています。「アンジェリーナ・ジョリーが持つBRCA1遺伝子変異とは」より引用
麻央さんの乳がんは「女性ホルモンが関わっていない乳がん」の可能性が高いです。つまり、遺伝性の乳がんかもしれません。
このタイプの乳がんは若い時期に発症し、なお悪性度が高いのが特徴です。
麻央さんも今現在が33才ですので、31才の時に乳がんを発病していたと思われますので、本当に若い時期です。
こう考えるとアンジェリーナ・ジョリーさんの決断は正しかったのかもしれませんね。
「何で乳がんになっていないのに、乳房取っちゃうの?」という意見もありましたが、麻央さんの症状を見せられると説得力があります。
まだ、お子さんも小さいですので、まだまだ生きて欲しい。
ただ、これだけです。
BRCA1遺伝子に変異があると比較的若い年齢から乳癌や卵巣癌になる確率が高く、しかも、悪性度が高いと言われています。
「アンジェリーナ・ジョリーが持つBRCA1遺伝子変異とは」より引用
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