前回の記事「乳がん体験記 佐藤さん編⑦乳がんの乳房再建手術の術前検診」は健康な乳房の脂肪を切り取って、それを癌を取り除いた乳房に入れる手術内容を医師から説明されるという内容です。
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健康な乳房とお別れになるので友達にオッパイを触ってもらったり、入院中にお見舞いに来て欲しいとお願いをしたりと乳房再建手
術を待つ時間は乳癌の切除手術のときとは違って暗い重苦しい気分はありませんでした。もちろん身体にメスが入ることは不安ではありますが、乳房の左右差が著しい現状よりはマシになることだけは確かなので、不安よりも期待が勝っていました。
乳房再建手術のために2年間貯めたオッパイ貯金で個室に入ることにしました。乳癌の手術の時には相部屋で、嫌な思いをしたので、今回は思い切って個室にしました。相部屋だと無料ですが、特別室の料金は16000円から37000円まであります。私は個室Aの18000円の部屋です。
入院の準備は入院中の生活を充実させるためにバスタオル、パジャマ、下着を新調したり、保湿パックにお菓子を入れたりと旅行気分でした。
そして一人で病院に向かったのですが、両胸の手術のための入院は約10日の予定で、その期間過ごす病室を使い勝手の良いように配置して入院生活を楽しもうとしていました。こんなことが出来るのも個室だから。
今回の手術に必要な検査は入院前に済んでいるため、翌日が手術でした。手術まで医師とは会えないのかと思っていたのですが、夕食が終わった頃に医師が部屋に来てくれました。挨拶に来ただけだと思っていたら、翌日の手術をするラインを身体にマジックで描いていかれました。形成外科では普通のことのようです。一人になってから鏡で見て、こんなにも切って縫うのかと思ったくらいです。
手術当日は朝から絶食で、9時の手術前に手術着に着替え(こちらの病院では着圧靴下は履きませんでした)、手術室には歩いて行きました。私が手術を受ける部屋に向かうまで、いくつかの手術室がありましたが、今回は2度目の手術で少し気持ちに余裕があり、別の手術室の様子も冷静に観察することが出来ました。
例えば手術室に顔写真を置いて患者を間違えないような措置に感心したり、音楽を流しながら手術をしていたりといった様子を観察していました。このように、不思議と緊張はしていませんでした。
そして、麻酔をされて手術が行われたのですが、麻酔が覚めた時は既に病室でした。まだ酸素マスクをしていたし、点滴に血圧・心電図のモニターなどが並び、集中治療室のようでした。ベッドはエアマットが敷かれ、脚にはフットマッサージ機が巻き付かれていて自分の意思とは別に、絶え間なく身体のどこかが動かされています。心電図のモニターの音とエアマットが収縮する音がうるさかったので熟睡はできませんでした。
手術後はノドが渇くが水は許可が出るまで飲めないために、うがいをして気を紛らわしました。翌朝までは食べられないのかと思っていたけど胃が動き出したからと食事を出してもらえました。食事は冷たいと思ったのですが、温かくて感謝したいくらいでした。入院中は些細な気遣いが有難いものです。
手術後の乳房を自分で見て確認したいが、まだ動けないため、息子に見てもらうと「乳輪がガーゼに包まれているけど大きさは同じになっているよ。」ホッとしましたが、ますます早く見たい気持ちが大きくなりました。
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続きは
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