この記事は「[乳がん体験記 原さん編①]どのように乳がんが発覚したのか」の続きです。
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健康診断の結果を受けて、出来るだけ早く精密検査を受けることにしました。
私が健康診断を受けたのは、日生病院という中規模の総合病院併設のクリニックでしたので、特に深く考えることもなく、その病院の乳腺外科に予約を入れました。会社から徒歩圏内というのも、大きな理由です。
病気が発覚したら誰もがするように、健診結果が届いてから、私もネットで時間の許す限り乳がんについて調べまくりました。Q&Aサイトなどによると、石灰化があったからと言って癌である可能性は、20%~30%。ほとんどの人は大丈夫なのだと、自分に言い聞かせ、健診結果を見た時よりはかなり気が楽になっていました。
電話して三日後に予約が取れました。会社にも家族にも、病院に行くとは言いませんでした。その時は、悪い結果が出るとは思わず、余計な心配をかける必要もないな、と思ったからです。予約をしたにもかかわらず、2時間ほど待たされました。病院に着いたときは楽観的な気分でしたが、待っている間にどんどん不安になったのを覚えています。
先生は、30代後半くらいの穏やかな感じの方でした。
「健診で要精密検査と言われたんですね~。」
健康診断を行った病院とは提携しているため、先生の手元にはすでにマンモグラフィーの画像がありました。
「マンモグラフィー痛かったでしょう。」とニコニコしておっしゃいます。少し緊張がほぐれました。
「これを見ると悪性かどうかわからないけど、とにかく超音波でみましょう。」
診察室の一角に、カーテンで仕切れる部分があり、そこのベッドに横になりました。照明が暗くなります。
「ちょっとヒヤっとしますよ。」
超音波検査は、妊婦健診でお腹の赤ちゃんを見た時以来です。あの時はワクワクしながらモニター画像を見たのに、今度は…。
先生は、ものすごく念入りにチェックします。思い過ごしかもしれませんが、表情がすこし引き締まった気がします。左胸が石灰化のあった場所ですが、右胸も同じようにチェック。私もモニターを一緒に見ますが、よくわかりません。そしてまた左胸に戻ります。何度か同じ場所を行ったり来たりした後、カチッと静止画を取ります。
「ここにシコリがありますね。5㎜位かな」
目を凝らしてみても正直良くわかりませんでしたが、「シコリ」という言葉は、ズシーンと響きました。
私の気持ちを察したのか先生は、
「でもね、もしこれが癌だとしても、これくらいの大きさで発見されるのは、ものすごくラッキーなことなんですよ。」
と言われました。
その時は、ひたすら癌ではないことを願っていたので、癌で「ものすごくラッキー」とは、素直に思えませんでした。
それよりも、このとき「この先生は、どうやら癌だと思っているな。」と感じました。ずいぶん後になってこの言葉のありがたみがジワジワ感じられるようになりました。
4年たった今でもたまに、病気のことで気分が落ち込んだり、「もし癌にならなかったら」いう思いが湧き上がってきます。
そんな時は先生のこの時の言葉を思い出して、「私はものすごくラッキー」と思うようにしています。この後、細胞診検査に進みます。
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