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[平成編]薬害の歴史。約800人の死者を出した薬害が登場

 

 前回は「[昭和編]薬害の歴史をまとめてみました。厚生省の製薬課課長が隠ぺい」で昭和の薬害について取り上げましたが、今回は平成の薬害をまとめました。

 平成の薬害をまとめた感想は「昭和で起った薬害の教訓が全く生かされていない」ということです。いつも対応が後手に回り、被害者が増えていくという構図は相変わらずです。

①1989年から1993年 MMRワクチン
 MMRワクチンははしか、おたふくかぜ、風しんを予防することを目的に接種されていましたが、1989年4月から1993年4月までに接種した子供に無菌性髄膜炎の副作用が現れています(無菌性髄膜炎の症状は発熱、頭痛などがあります)。被害者の数は約1800人で、亡くなった子供は6人、その他にも重い後遺症を被ったりしています。

これらの原因は次に示すように厚生省の対応の遅れです。

 MMRワクチンの定期接種は1989年4月から始められたのですが、1989年9月時点で「菌性髄膜炎の発生リスクを10万から20万に1人」という項目を添付文書に記載するように指示しています。

 しかし、厚生省は1989年10月時点で「6000人から3万人に1人に菌性髄膜炎の発生リスクがある」と県に報告しています。1989年12月には菌性髄膜炎の発生リスクが「2000人に1人」だと分かり、MMRワクチンの接種を親からの申し出がある場合にだけ接種するように指示しています。

 そして、1990年2月に添付文書に菌性髄膜炎の発生リスクが「数千人に1人あること」を記載するように指示。さらに、1991年の6月に添付文書に菌性髄膜炎の発生リスクが1200人に1人あることを記載するように指示。

 結局は1993年にMMRワクチンの接種は中止。

 このように厚生省は対応が後手になり、被害者の3家族は1993年12月に国と阪大微研会(製造会社)を相手取って裁判を起こしています。結果は被害者側の勝訴で終わるのですが、損害賠償金を払ったのは阪大微研会のみで、国は責任を認めていません(阪大微研会がお金を払ったため、国への請求は却下)。

国は「判決は認められないので、謝罪はしません」とコメント。

被告の国と阪大微研は、3件すべてについて、責任以前に、死亡障害と予防接種との因果関係を否定している。
予防接種健康被害救済制度上は、無菌性髄膜炎の医療費、死亡一時金等、または障害児養育年金等を支給しながら、訴訟では、死亡障害はMMRワクチンによるものではなく、因果関係がないものに責任があるわけがないという態度をとっている。
国・阪大微研は、死亡障害の原因をMMRワクチンではないと裁判で主張するために、被害児の体質や親の介護の責任を持ち出している。
親は、ただでさえ子どもにこのワクチンを受けさせてしまったことに責任を感じ、後悔しているのに、親が自分の病気を子どもに感染させた、介護が不十分だったと主張し、再び被害児の親を足蹴にする

『薬害が消される』より引用

②1996年から2001年 ヒト乾燥硬膜
 ヒト乾燥硬膜「ライオデュラ」(Bブラウン社製造)は1973年に輸入することを承認されました(なんと、審査期間は3か月)。このライオデュラは人の死体から硬膜を取って製造されていた商品ですが、1人の硬膜から1つのヒト乾燥硬膜が作られていたわけではなく、複数の人の硬膜を集めて1つのヒト乾燥硬膜が作られていました。

 本来であれば病歴を調べたうえで死者の硬膜を使用するかどうかを決めるべきでしたが、そんなことはお構いなしにエイズなどの病歴を持った人の硬膜でも使われていました。

 そして、この「ライオデュラ」によって滅菌技術の不備も伴って、ヤコブ病病原体によるヤコブ病という病気に約90人が感染しています。

 なぜ、被害が拡大してしまったのか。以下のような後手の対応があったからです。

 実は厚生省は1976年にヤコブ病の研究班を作って、色々情報を集めていました。しかし、厚生省はここでは何もアクションを起こしていません。1978年にはBブラウン社が行っていたガンマ線の殺菌でもヤコブ病病原体は死なないことが発表されていました。ここでも、厚生省は何もアクションを起こしていません。

 そして、1987年にはアメリカで初めてヤコブ病に感染した患者の論文が発表されると、その年にアメリカはライオデュラの使用を停止しています。ここでも、厚生省は何もアクションを起こしていません。結局、日本ではこのような経緯があったのに、実際に使用を停止したのは1997年です(WHOの勧告によってやっと。アメリカに10年遅れて停止)。

 このようにヤコブ病の情報があったにも関わらず、厚生省は何も対応をしてこなかった事実が明らかになっており、これが被害を拡大させた要因です。

 被害者の58名は1996年と1997年に国とBブラウン社に裁判を起こしていますが(この時、ほとんどの被害者は死亡している)、2001年に和解をしています(1人当たり6000万円)。

③2002年 イレッサ
 イレッサ(アストラゼネカ社製造)は肺癌の抗癌剤として2002年7月に厚生労働省に承認されました。通常、1年から2年かかる審査がイレッサの場合には5か月ほどで承認(日本が初めての承認国)。承認された月には早くも副作用による死者が発生しています(承認された日の10日後に死亡)。薬害イレッサ弁護団によると2002年から2010年までで合計約800人近くの人が亡くなっています。

 イレッサの副作用で一番多いのが間質性肺炎です。イレッサの海外の臨床試験(薬の承認を受けるための試験)で196人が副作用を被りましたが、その内12名の患者が間質性肺炎や他の肺炎になって死亡、国内の医師独自の試験(医師が輸入してイレッサを使っていた)でも286人の中で1名が肺関連の病気で死亡しています。

 しかし、イレッサの審査の過程でこれらの事実を承認の判断材料にしませんでした。その後、審査に通ってイレッサは承認されるのですが、承認後に行なわれた臨床試験で延命効果がないことが判明しています。しかし、日本人以外のアジア人には効果があるとし、様子見をしています。

 アメリカでは2005年に新規にイレッサを使う患者への投与を禁止しています。日本は2011年になってやっと、EGFR遺伝子変異陽性の人にだけイレッサ投与を認めるようになりました(つまり、イレッサを使ってよい患者の範囲を狭めたということです)。

 イレッサで亡くなった人の遺族が国や製薬会社を相手取って裁判を行いましたが、敗訴しています。裁判官は「添付文書に間質性肺炎の危険性が書いてあり、それを見逃した医師が悪いのであって、製薬会社や国は関係ない」とする判断をしています。

 個人的はアメリカが2005年に新規患者への投与を禁止しているのに、なぜ日本は2011年まで様子見をしていたんだろうと思います。2005年で止めていれば180人ほどの人は副作用で死ななくて済んだのに…。

イレッサでの死亡数

2002(平成14)年:180人(7月から12月)
2003(平成15)年:202人
2004(平成16)年:175人
2005(平成17)年:80人
2006(平成18)年:52人
2007(平成19)年:38人
2008(平成20)年:44人
2009(平成21)年:34人
2010(平成22)年:14人(1月から9月)

薬害イレッサ弁護団より引用

④2009から現在進行中 子宮頸がんワクチン
 平成の薬害で進行中なのが子宮頸がんワクチンです。「サーバリックス」の承認は2009年、「ガーダシル」は2011年です。被害者数は「子宮頸がんワクチン副反応追跡調査」によると調査の対象1739人の中で、1550人が回復、3人が死亡、186人が未だに回復していません(参考記事「厚労省の子宮頸がんワクチン副反応追跡調査結果はやはり嘘だった」)。

 サーバリックスを承認した時の大臣が元東京都知事の舛添さんで、承認時の不透明さが指摘されています。「サーバリックス」の承認時の審議会では神山美智子さんから子宮頸癌ワクチンについて以下のような反対意見が出されていました。

「これを受けたら、ずっと効果が続くのだということでもない。
きちんと定期検診を受けなさいということを説明しておきながら、定期検診の仕組みもできていない。

では、どうするのかという話になるのです。
また、なぜ10歳からなのかということも分からない。
いろいろな資料を見ていると、15〜20歳の女性の結果がいろいろ書いてありますが、10歳から子宮頸がんの検診を受けるなどという話は聞いたこともないのです。
そういうあり得ないような検診システムを前提にして、でも定期的に調べてくださいと言うことが夢物語のような気がするものですから、そういう医薬品は効果があるから認めてもいいのではないかというのは納得できないのです」

 さらに、医薬品医療機器総合機構からはアジュバンドについて以下の意見が出されていました。

「自然免疫応答の活性化への寄与が知られる新規アジュバント成分であるモノホスホリルリピドAを含有すること、また、昆虫細胞をたん白質発現細胞として用いた本邦初の遺伝子組換え製剤であること等を踏まえますと、特に慎重に安全性情報を収集し、適切に情報提供していくことが重要と考えております」

 では、この子宮頸癌ワクチンを積極的に推進したのは誰か。それは公明党の元女性議員です。2008年の参院予算委貴会にて元女性議員は早く子宮頸癌ワクチンを承認するように求めています。この元女性議員の旦那さんは、サーバリックス製造会社の弁護士をしていたというから(週刊文春の報道)、利益相反だと言われても反論は出来ないでしょう。

 こうした結果から、「サーバリックス」が2009年に承認されたのですが、2010年の補正予算では国が接種費用の半分を出すことを決めています(この公費助成も公明党が求めていたこと)。そして、2013年4月には子宮頸癌ワクチンを定期接種することが決定。

 2013年6月には予防接種・ワクチン分科会 副反応検討部会の勧告を受け、厚生労働省は子宮頸癌ワクチンの勧奨を停止。

 2014年1月に予防接種・ワクチン分科会 副反応検討部会が開かれるが、副作用は「心因性」のものと結論付けましたが、委員の中の7割が製薬会社と関係があることが後の報道で判明しています。

 そして、2016年7月、被害者63人が国と製薬会社に対して提訴。被害者は副作用の苦しみと同時に裁判の苦しみも背負うことになりますが、まだ中学生や高校生の女の子ですよ。それなのに、国や製薬会社は「私達に責任はない」と闘うのでしょうか。

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