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天然歯に寿命があるように、インプラントにも寿命がある

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インプラントは「一生もの」ではありません

インプラントは、見た目や噛み心地が天然歯に非常に近く、失った歯を補う最先端の治療法です。
しかし、「一度入れれば一生安心」というわけではありません。

天然歯に寿命があるように、インプラントにも寿命が存在します。
正しい知識と日々のメンテナンスによって、寿命を延ばすことが可能です。


インプラントの構造と寿命が生じる理由

インプラントの基本構造

インプラントは、以下の3つのパーツで構成されています。

  1. フィクスチャー(人工歯根):チタン製のネジで顎骨に埋め込まれる部分

  2. アバットメント:歯根と人工歯をつなぐ支台

  3. 上部構造(人工歯):セラミックなどで作られる人工の歯

寿命が生まれるメカニズム

チタン製のフィクスチャー自体は非常に耐久性が高いものの、問題はそれを支える骨や歯肉の状態が変化することです。
加齢や生活習慣、炎症によって骨が痩せたり、歯茎が下がることで、結果的にインプラントが不安定になります。


【データで見る】インプラントの平均寿命は10〜20年

複数の臨床研究によると、以下のような結果が示されています。

  • 10年生存率:90〜95%

  • 20年生存率:80〜85%

つまり10年間で10本中1本は何らかの理由で除去・再治療が必要になるということです。
インプラントの寿命を左右する主な要因は、

  • インプラント周囲炎(歯周病と同様の炎症)

  • 咬み合わせ・力の負担

  • メンテナンスの有無
    です。


インプラントの寿命を縮める最大の敵「インプラント周囲炎」

インプラント周囲炎とは

「インプラント周囲炎(peri-implantitis)」とは、インプラント周囲の歯肉や骨に炎症が起きる病気です。
天然歯の歯周病と似ていますが、痛みが出にくく、発見が遅れやすい点が特徴です。

細菌が原因で骨が徐々に溶けてしまい、最悪の場合はインプラントが脱落します。

インプラント周囲炎の原因

  • 喫煙

  • 糖尿病などの全身疾患

  • 定期的なメンテナンス不足

  • ブラッシング不良

インプラントには神経がないため、痛みや違和感が出る頃にはかなり進行しているケースが多いです。
そのため、早期発見・早期対応が非常に重要です。


「永久に持つ」と誤解される理由

日本では、インプラントが普及した初期に「半永久的に使える」と宣伝された時期がありました。
しかし、素材の強さと人体の変化は別問題です。

顎骨は年齢とともに変化しますし、噛み合わせや歯ぎしりの影響も蓄積します。
つまり、どれだけ高性能なインプラントでも、周囲の環境(骨・歯肉・咬合)が変化すれば寿命を迎えるということです。


インプラントの寿命を縮める主な原因5つ

  1. 歯ぎしり・食いしばり(ブラキシズム)
     → 過剰な力が加わるとネジが緩む・骨が吸収される。

  2. ブラッシング不足
     → プラークが付着し、インプラント周囲炎のリスク増。

  3. 定期検診を受けない
     → 小さな異常を見逃し、重症化する。

  4. 糖尿病・骨粗鬆症などの全身疾患
     → 骨結合が不安定になり、炎症リスク上昇。

  5. 喫煙
     → 血流が悪化し、歯肉や骨の治癒を妨げる。


インプラントの寿命を延ばすメンテナンス方法

自宅でのケア(セルフケア)

  • 歯間ブラシ・タフトブラシでインプラント周囲を清掃

  • デンタルフロスでプラーク除去

  • 抗菌マウスウォッシュの使用

  • 歯ぎしり防止用ナイトガードの装着

歯科医院でのメンテナンス

  • 3〜6か月ごとの定期検診

  • インプラント専用器具によるクリーニング

  • 咬み合わせのチェックと調整

  • レントゲンで骨吸収の確認

インプラントの寿命は、素材ではなくケアで決まると言っても過言ではありません。


インプラントの再治療(リプレイス)は可能か?

インプラントが脱落しても、骨量や健康状態が良好であれば再治療(再埋入)は可能です。
ただし、骨が吸収している場合は「骨造成」などの追加治療が必要になります。

再治療ができるかどうかは以下の条件で判断されます。

  • 骨量・骨質

  • 炎症の程度

  • 糖尿病や喫煙習慣の有無

初回よりも難易度が高く、治療費も高額になるため、初期の段階でトラブルを防ぐことが最重要です。


【比較】インプラントと天然歯の寿命の違い

項目 天然歯 インプラント
寿命の目安 平均50〜60年(ケア次第) 平均10〜20年
主な脱落原因 歯周病・虫歯 インプラント周囲炎・骨吸収
神経の有無 あり(痛みで早期発見可) なし(発見が遅れやすい)
ケア方法 ブラッシング・歯石除去 専用ブラシ+プロクリーニング

インプラントの方が定期的な管理が求められ、「天然歯より繊細なケア」が必要です。


まとめ:インプラントも“生きている器官”と考える

インプラントは優れた治療法ですが、永久に機能するものではありません。
人の体と同じく、年齢・生活習慣・全身状態により変化していきます。

  • インプラントの平均寿命は10〜20年

  • 最大のリスクはインプラント周囲炎

  • セルフケアと歯科医院での定期メンテナンスが必須

  • 正しい知識と習慣で“生涯使える”可能性を高める

インプラントを「一生使える歯」にするかどうかは、治療後のあなたの行動次第です。
天然歯と同じように、大切にケアしていきましょう。

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