食品添加物とは何か?私たちの食卓に潜む“見えない存在”
私たちが日常的に口にする加工食品やコンビニ弁当、スナック菓子には、多くの「食品添加物」が含まれています。食品添加物とは、食品の保存性を高めたり、色や香り、味を整えたりするために人工的に加えられる物質です。具体的には、保存料、着色料、甘味料、香料、酸化防止剤、乳化剤、増粘剤などが挙げられます。
日本では約1500種類以上の食品添加物が使用を認可されており、中には天然由来のものも含まれていますが、多くは合成化合物です。現代人の食生活では、知らず知らずのうちに多量の添加物を摂取している可能性があり、健康への影響が懸念されています。
食品添加物の主な役割と分類
食品添加物は目的別に以下のように分類されます。
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保存料:細菌の繁殖を抑え、食品の腐敗を防ぐ(例:ソルビン酸、安息香酸)
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着色料:色味を良くして視覚的な魅力を高める(例:タール系色素、カロテノイド)
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甘味料:砂糖の代替として低カロリー甘味を提供(例:アスパルテーム、スクラロース)
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香料:香りを付け、食欲を刺激する(例:バニリン、エチルマルトール)
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乳化剤・増粘剤:油と水を混ざりやすくしたり、食品のとろみや弾力を調整する(例:グリセリン脂肪酸エステル、キサンタンガム)
これらは一見便利な存在ですが、摂取量や体質によっては健康にマイナスの影響を及ぼすこともあります。
最新研究からわかる食品添加物の影響
食品添加物と健康の関係については、国内外で多くの研究が進められています。近年、特に注目されているのが以下のような影響です。
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消化器官への影響
2021年にフランス・パリ第13大学の研究チームが発表した研究によれば、乳化剤(カラギーナン、CMCなど)の長期摂取が腸内フローラのバランスを乱し、炎症性腸疾患(IBD)や過敏性腸症候群(IBS)のリスクを高める可能性が示されています。腸内細菌叢の変化は免疫系や精神状態にも影響を及ぼすとされており、添加物が腸を通じて間接的に健康全体に影響している可能性があります。 -
神経系・行動への影響
アスパルテームやタール系着色料(特に青1、赤40)は、一部の小児において多動症状(ADHD)を引き起こす可能性があるという報告があります。イギリスのサウサンプトン大学が2007年に行った研究では、特定の着色料と保存料の組み合わせが、子どもの行動に悪影響を与えることが示唆されました。この研究を受け、EUでは一部の添加物に「注意喚起ラベル」が義務化されています。 -
発がん性の懸念
亜硝酸ナトリウム(発色剤)は、ハムやソーセージの色を美しく保つために使用されますが、胃の中でアミンと反応して発がん性物質「ニトロソアミン」を生成する可能性があります。国際がん研究機関(IARC)は、加工肉を「グループ1(人に対する発がん性がある)」と分類しています。
「安全基準」の盲点とADI(1日許容摂取量)
「じゃあ、法律で認められているから安全なんじゃないの?」と考える方も多いでしょう。確かに、添加物は厚生労働省により使用基準が定められ、食品ごとに添加可能な量が決まっています。さらに、「ADI(Acceptable Daily Intake)」と呼ばれる一日当たりの安全摂取量が国際的に定められており、それを超えない限り健康に影響はないとされています。
しかし、このADIにはいくつかの盲点があります。
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個々の体質差(アレルギー、酵素活性の違い)を考慮していない
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複数の添加物を同時に摂取する「カクテル効果」の影響が不明
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長期的な微量摂取の影響に関するデータが不十分
そのため、安全とされている添加物であっても、積み重ねによるリスクを完全に無視することはできません。
専門家が語る「なるべく避けたい添加物」とは?
国内外の食品衛生専門家の間でも、以下のような添加物は特に注意すべきだとされています。
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合成甘味料(アスパルテーム、スクラロース):代謝に与える影響や腸内細菌への悪影響が報告されている
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亜硝酸ナトリウム:発がん性物質の生成リスク
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BHA・BHT(酸化防止剤):動物実験で肝臓への影響が報告されている
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グルタミン酸ナトリウム(うま味調味料):一部で頭痛や吐き気との関連が指摘されている
専門家の共通した意見として、「絶対にゼロにする必要はないが、できる限り摂取量を減らす努力は必要」というものがあります。
実践的な対策:食品添加物と上手につきあう方法
完全に食品添加物を避けることは現実的ではありませんが、以下のような工夫で摂取量を減らすことができます。
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原材料表示を見る習慣をつける
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なるべく加工度の低い食品を選ぶ(例:冷凍野菜 vs 調味済み惣菜)
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無添加・オーガニック表示の商品を選ぶ
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自炊の頻度を増やす(簡単な味噌汁やおにぎりから)
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食品表示の「/(スラッシュ)以降」は添加物であると覚える
特に子どもや高齢者、妊婦など体に影響が出やすい人は、添加物をなるべく控えるよう意識することが大切です。
まとめ:私たちが「選ぶ力」を持つことが最大の予防策
食品添加物は私たちの食生活を便利で豊かにする一方で、長期的な健康リスクがゼロとは言い切れません。最新の研究からも、腸内環境や代謝、免疫、神経系など、さまざまな健康影響の可能性が報告されています。
ただし、全ての添加物が危険というわけではなく、使用量や個人の体質によって影響は異なります。大切なのは、「知った上で選ぶ」こと。原材料表示を確認する、加工食品に頼りすぎない、信頼できるメーカーを選ぶなど、日々の小さな選択が将来の健康を守るカギとなるのです。
健康的な食生活の第一歩は、「何が含まれているかを知る」ことから始まります。添加物の知識を持ち、選ぶ力を磨いて、より安全で豊かな食生活を目指しましょう。
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