この記事は20代の男性に書いていただきました。
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私は20代の男性ですが、最初に統合失調症と診断された経緯についてお話しします。
高校卒業後自宅で浪人生活を送っていました。勉強は一人で黙々とできるタイプなのでそれに関しては心配はありませんでしたが、家の中にいると「ここにシミがある」など細かいことが気になるようになってしまって、それらをすっきり解決させないと前に進めないようになっていました。
そんな状態からしばらく経って今度はパソコンのカメラで自分の姿を撮影されて、それがネットに流されているのではないかと心配になって、1か月ほど悩んでいるうちに自殺したくなるほど辛くなってきて、精神科を受診をしました。
それらの出来事は妄想だということで統合失調症と診断されました。そしてまずは不安をとらないといけないということで「ジプレキサ」という比較的新しい種類の抗精神病薬を処方してもらいました。不安はその日の夜にはびっくりするくらい穏やかになりました。
ジプレキサの副作用
副作用はほとんど無いという認識が最初にはあったので、心配はしていませんでした。しかし、2日ぐらい服用した日の朝、身体が重く感じるようになっていて、身体を起き上がらせるのにも辛いほどになっていました。まるで90歳のおじいちゃんにでもなったような錯覚を覚えました。
ジプレキサだけではないですが、統合失調症の薬「抗精神病薬」は体重増加の副作用があります。理由は食欲が旺盛になることと代謝が悪くなることです。その中でもジプレキサはトップレベルです。
ですので、私も例外なく太り、1か月であきらかに体重は増えてしまいました。高校時代は細めだったのですが、それよりも15キロくらいは重くなってしまいました。とにかく食欲が止まらないので、気づくと近くにある菓子パンやスナック菓子などを食べている状態でした。
そして、後になって知ったのですが、ジプレキサは糖尿病のある人や家族に糖尿病の人がいる場合には気を付けなくてはいけない薬です。私の祖母が糖尿病だということが分かって、ここで服用は中止になりました。なぜ処方する前に私に確認してくれなかったのか不思議ですが、医師の怠慢か知識不足かどちらかでしょう。
その後リスペリドン(リスパダール)
そういった経緯から主な統合失調症のお薬はジプレキサからリスペリドンというお薬になりました。ジプレキサは1日1回の服用でよかったのですがリスペリドンは1日3回飲まないといけなかったので大変でした。
ジプレキサほど太りやすいお薬ではないのですが、体重の微増はありました。でも一番辛かったのは何か活動をしたくても、頭も回らなくなったり、意欲がなかなか出にくくなってしまうことでした。
その後
主治医が亡くなってしまって、別の精神科へかかることになりましたが、新しい主治医はとても若い先生でした。僕の悩み(服用回数など)に応じて様々なお薬を試してもらいました。エビリファイという新しい抗精神病薬も試してもらいました。
この薬は先ほど説明した2種類の薬と比べて太りやすい副作用は少なく、体重の増加は感じませんでした。しかし、このお薬は早朝覚醒(早く起きてしまう)を招いてしまうので中止しました。その後はリスペリドンで様子を見ていました。
その後、断薬
主治医とたくさんお話ししている中で、「リスペリドンを服用しているから体がだるいのではないか」という話になったので、主治医は中止をしてみることに提案してくださいました。自分でリスペリドンを中止してみよと思ったことがありましたが、不安が強すぎてできませんでした。主治医公認ならばと思っていたので断薬に同意しました。
最初は若干の気分の落ち込みがありましたが、「本当に辛い時はお薬があるからできるところまでやってみてください」と先生が僕の背中を押してくれたので、乗り越えられました。
今、断薬して1年半以上たちますが、抗精神病薬を飲んでいたころとは違って世界がキラキラしているというか、絶望もなく、どんどんいろんなことをしてみようと思えて、これが人間らしくいきるということなんだなあと思いました。
抗精神病薬はひどく興奮した思考をコントロールしてくれるお薬ですが、きっと人間らしい気持ちにもフタをしてしまうのではないかと思います。
今は社会復帰の施設で訓練をしながら、仕事を始められるように準備をしています。
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