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痛み止めに使ったボルタレンで呼吸困難のアナフィラキシーに

 

この記事は看護師の女性に書いていただきました。

……….

 私は整形外科の病棟で働く看護師です。5年以上の看護師経験があります。ある日、腰の手術をするために入院していたAさんが、手術前の夜勤で腰痛が強くなってしまったため、「何か痛み止めはないか」と相談を受けました。

 手術前夜だったこともあり、疼痛が強くなった時にどんな痛み止めを使うべきか医師の指示はありませんでした。もともと数種類の痛み止めを飲んでいたため、当直の医師に相談することにしました。医師からはボルタレン座薬を使用するように指示を受けまして、指示に基づき患者さんに説明した上で、ボルタレン座薬の使用をしました。

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いつもの薬で全く予測外のことに…

 私は他の手術後の患者さんの担当もしていました。他の患者さんに対応してから、ナースステーションに戻ったところ、一緒に勤務していた他看護師からAさんがかゆいと言っているとの報告を受けました。急いでAさんのところにかけつけると呼吸困難と首を中心に赤くなっていました。もしかしてボルタレン座薬の影響かなと思うと同時に自分が入れた座薬なのに…という思いが湧きました。

 そして血圧を測ってみると、80台と通常よりもかなり低い血圧となっていました。みるみるうちに発疹の出現、呼吸困難が強くなり、これはアナフィラキシー(アレルギー反応)の可能性があると思い、慌てて当直医師に連絡をしました。

 当直医師は院内にはいましたが、離れた場所にいたため、患者のもとへ来るまでにとても時間がかかっていました。そのため、その間、電話で指示をもらいながら、対応をしていくこととなりました。当直医師が駆け付けたこと、ステロイドの休息投与により一命をとりとめることができました。

自分のことをせめてしまう

 患者さんのためのいつも通りの座薬でこんなことになると思わなかったので、「自分が入れた座薬」ということが頭から離れなくなってしまいました。

 「腰が痛いから、どうにかしてほしい」というAさんの訴えで、医師の指示のもとに使用した痛み止めでしたが、痛み止めとはいえ、薬であることを思い知らされた出来事となりました。そして今考えると、この時にAさんからの訴えがなく、Aさんのところに行くことができなかったら…と思うと今でもぞっとしてしまいます。

 今回、私が経験したアナフィラキシーは、座薬だけではなく食べ物やそのほかの薬などでも起きる可能性があるものです。また普段、平気だと思っても、たまたま体調が悪かったり、食べ過ぎてしまったりするだけでも発症してしまう可能性があるのです。特に新しい薬を使う、食べ慣れていないものを食べるといった時には、注意が必要です。

 幸いなことに、このAさんからは退院の時まで「本当にお世話になった。あの時は苦しくなってどうなってしまうことかと思ったけど、助けてくれてありがとう。」と言っていただきました。それが私にとっての救いだったように思います。

[参考記事]
「ロキソニンの副作用でアナフィラキシー。呼吸困難で病院へ」

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