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睡眠導入剤マイスリーの副作用で寝る前の出来事を覚えていない

 

この記事は30代の女性に書いていただきました。

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「処方のきっかけ」

 五年前の夏のことです。軽い気分の落ち込みと入眠困難を感じた私は、自分の症状についてインターネット(製薬会社のページ)で調べ、チェックテストをやってみました。すると、「うつ病である可能性があるので、受診しましょう」という結果が出ました。治療は早く始めるほど治りやすいという情報も得て、看板を見かけたことのある心療内科と精神科を標榜するクリニックを訪れました。

 診察した医師は、私の話を聞き、最初はベンゾジアゼピン系気分安定剤のソラナックスと、睡眠導入剤レンドルミンを処方されました。二週間様子を見ましたが、気分の落ち込みについては効果が出ず、レンドルミンの効果で多少は入眠は出来るものの、2時間ほどで目が覚めてしまう状態でした。

 次の受診で医師に相談したところ、なぜかソラナックスはそのままで、SSRI抗うつ薬のジェイゾロフトが追加され、睡眠導入剤はマイスリーに変わりました。

「マイスリーの効果と副作用」

 マイスリーは正直な感想として良く効きました。ジェイゾロフトも10日程で少しだけ気分の落ち込みにも効いてきたように思いました。医師の診断もしばらくこの処方で様子を見ようということになりました。

 睡眠導入剤は就寝前に飲むお薬なので、当時はまだ保育園児だった子供2人がおり、子供とベッドに入る前に飲んで、寝かしつけながら私もそのまま眠るような形をしばらく続けていました。しかし、子供は就寝の体制に入ってからもなかなか寝なかったり、お手洗いに行ったりするので、すぐに眠るという訳にも行かないことが多かったのです。

 そんなことが続いていたある日、朝起きると、夫が前の晩、私と話していたという会話について話しかけてきました。ところが、私は会話の内容どころか、寝る前に会話をしたことすら覚えてはいませんでした。

 調べてみると、稀に「一過性前向性健忘」と言って、薬を飲んだ後のことを忘れてしまうことがある薬のようでした。その事は、医師からも薬剤師からも全く説明がなかったため、もちろん次の診察で医師に話しました。医師が言うには、「それであればベッドに入ってから、本当に寝るだけという状態になってから飲んでください」とのことでした。

「マイスリーを飲み続けて起きたこと」

 一過性前向性健忘が起こりやすい(薬の説明だと「起こることがある」)薬だということが分かりましたが、医師も処方を止めることはありませんでしたし、よく効く薬でしたので、私も注意しながら飲み続けていました。結果として、寝る直前に飲んでも健忘の副作用を避けることが出来ませんでした。健忘の為に私が経験したことは以下の様なことです。全て翌朝に気づいたことです。

〇食事をしていたことを覚えていない
 朝食用に買っていたパンが見当たらず、探しました。すると、空き袋らしき物がゴミ箱に入っていました。家族に誰か食べたのかと尋ねると、私が寝る前に「お腹が空いたから、パン今食べても良い?」と確認して食べていた、と言うのです。しかし、私は全く覚えていませんでした。

〇料理をしていたことを覚えていない
 使った後の調理器具と食器がシンクにありました。家族に聞いても全く知らないと言います。冷蔵庫を見ると卵がいくつか使われていました。恐らく、私が起きて何か作って食べたのだと思います。

〇コンビニに買い物に行っていたことを覚えていない
 テーブルの上にコンビニの空き袋とお菓子の空き袋、冷蔵庫に買った覚えのないペットボトルが入っていました。同じく家族に尋ねましたが、全く知らないとのことでした。私が夜中にわざわざ外出し、買ってきたと思うと恐ろしくなりました。

「その後のこと」

 このような事があっても、医師からはマイスリーを止めましょうという提案はありませんでした。1人の医師でなくほかの何人かの医師にも聞いたのですが「気をつけて服用するように」ということだけでした。

 しかし、本人としては会話を忘れたり、調理や外出、買い物をしたりしたことを忘れているというのは、とても気味の悪いことです。本当に全く覚えていないのですから、家族がいなかったらと思うと、恐ろしいの一言です。薬は私の方から止めてもらうように医師に申し出ましたが、医師から止めましょうという判断がなかったことは、薬、医師、クリニックに対する不信感に繋がってしまいました。

 医師と患者の間には病気や治療法に対しての圧倒的な知識の差があります。そして、患者側は医師による診断を科学的なデータやエビデンスに基づくものと思いがちです。知識の差を埋めるには、丁寧なインフォームド・コンセントがある事は最も重要なことですが、患者側でも知識を得る努力をしなければならないことを身に染みて感じました。

 マイスリーによる健忘という副作用は服用した人全員に起きるものではありませんが、睡眠導入剤を飲んだ後の行動を覚えていないということが起こりうるということです。私の体験が皆様のご参考になれば良いと願っております。

[参考記事]
「睡眠薬「アモバン」は私には強すぎて、倒れるように睡眠」

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