この記事は60代の男性に書いていただきました。
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医師の確認ミス
1回目の入院でスティッフパーソン症候群という病気であることが分かってステロイドパルス療法(ステロイドの点滴)を受けることになりました。1日1時間くらいの点滴を3日間続けて行って、その後1週間以上の間隔を空けて同じことを2回行いました。
スティッフパーソン症候群( – しょうこうぐん、stiff person syndrome; SPS)とは、非常に稀な進行性の神経性疾患で、自己免疫疾患の一種。
筋肉を弛緩させるための神経系統がうまく働かず、痛みを伴う体の硬直や筋けいれんを起こし、音や接触などの体感によって症状が誘発、悪化するウイキペディアより引用
ただ寝ていて点滴をするだけなので楽な治療だと思っていましたが、1回目の治療を行っているときに内分泌代謝化の医師が駆けつけてきて、「治療前の血糖値を測定してから治療を開始したのか」と看護師に説明を求めていました。
通常はステロイドパルス療法を行うと血糖値が上がるので、開始する前の血糖値を記録しておいて治療後にどれだけ血糖値に影響があるかどうかを検証する必要のあることが分かりました。治療を始める前には医師から看護師に対して血糖値を測定するような指示は出ていませんでした。
さすがに2回目の時には治療を始める前に血糖値の測定をしましたが、その時には160を超える数値になっていました(126mg/dL以上が糖尿病の基準値)。その後は食事の前に必ず血糖値の測定を行うようになりましたが、時には200を超えることもありました。
2回にわたって行われたステロイドパルス療法は効果がなく、点滴を行った日の夜になると左足が引きちぎられるような激痛が走って痛み止めを何回も飲んで意識を混濁させないと眠れない状態になりました。
今回の治療によって分かった副作用(1型糖尿病)
ステロイドパルス療法が終わってから内分泌代謝化で検査をしてもらったところ1型糖尿病になっていることが分かり、食事の内容も糖尿食に変わって、毎回インスリン注射を打たなければならなくなってしまいました。どうして事前に血糖値を測定してから治療を開始しなかったのか理解できませんでした。担当していた医師は私が退院した同じ3月に別の個人病院へ転職してしまいました。
退院してからも血糖値の測定とインスリンの注射は続いていましたが、背中と腰の痛みが次第に強くなってきたので11月に通院したときに医師に話をしました。その時に急に病気の発作である不随意運動が起きてしまって、全く動くことができなくなってしまったので、ストレッチャーに乗せられてそのまま入院することになってしまいました。
入院で分かった別の副作用(骨粗鬆症)
入院してすぐに行ったのが首から腰にかけてのエックス線撮影でした。その結果、背骨の上の方で1か所、腰のヘルニアの手術をしたところのすぐ上で2か所骨折していることが分かりました。ステロイドパルス療法を行なうと骨粗鬆症になる可能性があり、私も例外なく副作用をもらってしまいました。患部を固定するために急いで専用のコルセットを作ることになりましたが、保険が適用されないので6万円近くの費用が掛かってしまいました。
コルセットをしているために体を動かすのが不便で不自由な入院生活でした。インスリン注射は入院中も続いていましたが、インスリンの量も少しずつ減ってきていたので少しは気が楽になっていました。
退院してからも通院しながらエックス線撮影を行いながら医師からコルセットを外してもいいという言葉を待っていましたが3か月過ぎてからやっと許可が出ました。コルセットは外して手に持ってみるとかなり重いものでした。
予想もしていなかったインスリン注射の弊害
通院しながらもインスリンの注射は続いていましたが、次第にベッドから起き上がるのが困難になってきました。食欲もなくなり寝たきりに近い状態になってしまいました。退院するときに看護師さんからインスリン注射は血糖値に関係なく固定の単位で注射するように言われていたので正直に守っていたのが間違いのもとだったのです。血糖値が下がりすぎてきたために動けなくなってきていたのです。
冬の寒い時期になると体も限界になり、何も口にすることができなくなり血糖値は40以下にまで下がっていました。意識も薄れていく中で残された方法は救急車による緊急搬送の選択肢しかありませんでした。気が付いたときには呼吸器をつけられてベッドに寝かされていました。この時には肺炎も起こしていたので動くことができずに人生で初めて取り外しの簡単な大人用のおむつを付けられていました。あの時の情けない気持ちは今でも忘れることはできません。
一般病棟に移ることができたときは本当に嬉しかったのを覚えています。食事の前に血糖値を測定するのは変わりませんでしたがインスリンの注射はする必要が無くなりました。退院することができたのは2月になってからでした。開放感を感じることができて家に帰れば必ず良くなると考えていました。
退院してからは自由に過ごせることを実感しました
退院してからは何をするにも制約がないので本当に安心して生活することができていました。最初のうちは買い物に出かけてりして自由に動けることに喜びさえ感じていました。しかし、病気は確実に進行していたのです。最初のころは普通の人が歩いて5分くらいのところを10分かかっても歩くことができたのですが、次第にあることが難しくなってきました。
スティッフパーソン症候群による体の筋肉の硬直が始まってきたのです。足を動かすのも遅くなってきて今では往復で50mを歩くのがやっとの状態です。多少の副作用があっても効果のある薬が1日でも早く開発されるのを待つしかありません。
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