乳児がHPV(ヒトパピローマウイルス)に感染しているという研究は以前このサイトで取り上げました(参考記事「ヒトパピローマウイルス(HPV)は赤ちゃんにも感染している」)。
この研究はフィンランドのツルク大学が発表したのですが、76の家族を調べたところ、
〇生まれてすぐの赤ちゃんの15%の性器からHPVを検出
〇生まれてすぐの赤ちゃんの10%の口からHPVを検出
つまり、生まれた瞬間からHPVに感染していることが分かったのです。
乳児のHPV感染の報告はこれだけではありません。
台湾の長庚記念病院と長庚医科大学の共同研究でも、乳児のHPV感染が確認されています(長庚記念病院の病床数は3700床あります。日本では藤田保健衛生大学病院の1500床が1位)。
この研究では通常分娩の160人と帝王切開の141人の計301人の妊婦が対象です。
301人の中でHPV16型とHPV18型に感染している妊婦は68人。
そして、この68人が生んだ乳児の中の27人がHPVに感染していることが分かりました。
つまり、母親がHPVに感染している場合、子供に移る確率は39.7%あるという計算になります。
そして、通常分娩の方が帝王切開よりもHPV感染のリスクが高いことも判明していますので、産道を通っている時に感染しているということになります。
2つの研究の成果を比べると
〇フィンランドのツルク大学の研究では母親から乳児へHPV感染率は26%
〇長庚記念病院と長庚医科大学の共同研究では母親から乳児へHPV感染率は39.7%
となります。
フィンランドのツルク大学の研究では他にも
〇父親と乳児がHPV陽性で、母だけがHPV陰性が11%(76の家族の中の11%)
〇母親と父親がHPV陰性で、乳児だけがHPV陽性が8%(76の家族の中の8%)
という研究結果も導き出されています。
これらの研究から分かることは「HPVは性交渉でのみ感染するので、まだ性交渉していない小6や中1の時期に子宮頸癌ワクチンを打って感染を予防しよう」というロジックは破綻しているということです。
子宮頸癌ワクチンが効果があると仮定しても、HPVに感染しているかどうかを確認してから接種しないと意味がない。
既にHPVに感染している場合、子宮頸癌ワクチンは効果がないことは添付文書にも書いてあります。
<効能・効果に関連する接種上の注意>
(2)接種時に感染が成立しているHPVの排除及び既に生じているHPV関連の病変の進行予防効果は期待できない。
ガーダシルの添付文書より引用
この2つの研究はものすごいインパクトを持っているので、恐らく子宮頸癌ワクチン推進派はこれらの事実を完全に既読スルーするでしょうね(笑)
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