子宮頸がんを発症して感じた真の経済的な問題
私は四十二歳の時に子宮頸がんだと診断されました。診断された直後、私はステージⅠaの段階で円錐切除術を受けましたが、その後の経過が思わしくなく、四十五歳で膣の半分だけを残して、子宮や両方の卵巣など全ての内性器を全摘する広汎子宮摘出手術を受けました。四十九歳になった現在は温存した膣の部分に新たな腫瘍が見つかったため、精密検査の結果待ちです。
再発だという診断だとしても…今のところ三回目のオペについて、私は消極的な気持ちです。手術を受ければもう膣を使ったセックスは不可能になるという現実以上に、癌だと診断されて以降、徒に長くなるばかりの闘病生活に完全に疲弊し切っているというのが、患者としての本音だからです。
またがんの闘病を続けていると、治療にかかる費用以外にも本当に目に見えない出費が嵩みます。例えば普通の食事が摂れなかったり、肌が過敏になってしまって着られないものが続出するために、これまでの日常生活では必要なかったもの、例を挙げれば調理が簡単な食べやすい食品を購入したり、かぶれやすい下着や寝間着などを全て買い替える必要が生じる点から、多額のお金がかかります。
さらに女性である私は、整容のために最低限必要なもの…例えば医療用ウィッグ、抗がん剤の副作用のために割れる爪のケアや肌の色を明るく見せるための特別な化粧品、寝る時に脱毛した頭皮を刺激から守るがん帽子…本当にいろんなものを購入せざるを得ない状況に立たされ続けました。
決して贅沢しているわけではないのに、長期療養を続けていく上では、医療費以上にそういった健康保険では賄えない部分の出費がバンバン生じるという厳しい現実があるのです。
今やがんは国民のふたりにひとりは経験するありふれた病気であり、かつてのように死に至る病だともいえなくなりました。ただ、がんによる闘病期間が徒に伸びたことはそのまま経済的な困窮に直結します。
独身の私はボロボロの身体に鞭打って今でも働いていますが、現在こそ完全に在宅中心での仕事に切り替わったものの、以前オフィスで仕事をしていた頃は、抗がん剤投与のために通院したり、短期入院を余儀なくされたり、若しくは体調を崩して有休を請求するたびに「また休むの?迷惑なんだよね」「具合悪いんでしょ。生活保護でも申請すれば?」と、そんな言葉を投げつけられては、病気以外の問題でも苦しみ続けていました。
それでも、死なない以上は生きるしか術はなく、現在も私は医学の進歩と延命技術の向上を全く喜べないまま、ひたすら悩み続けるばかりです。
がんの症状以上に私を悩ませた病気と症状とは
そんな中、癌の症状以上に私を悩ませたことは自己免疫疾患、別の表現をすれば膠原病の症状が私に現れ、それらが私の生活の質を著しく下げたという点です。なぜ自己免疫疾患が現れたのかは分かりません。ですが、子宮頸がんに伴って二次的に表れたのは事実です。
さらにはあらゆる物に対するアレルギーも現れました。先に挙げた衣類に対する過敏症ひとつとっても、アレルギーの症状の一種です。皆さん余りご存じありませんが、アレルギー疾患、特に花粉症やアトピー疾患といったものも、れっきとしたアレルギー症状です。
それこそ今まで何ともなかった生野菜を食しても、喘息様の症状が現れて苦しくなります。果物も然り。現在の私は全ての食べ物を加熱しないとアレルギー反応を呈して喘息を起こしてしまいます。
元来好き嫌いというのは一切なかった私だったので、食べ物が自由に味わえないということはそれだけでも大きなストレスとなっています。
近くの内科クリニックで血液検査を受けたところ、私にはあからさまに膠原病の患者さん特有の結果が見受けられました。そのため、私は膠原病外来並びに入院施設を有する大きな病院で検査を受けた上で、ステロイドパルス療法(膠原病患者に短期間のうちに多量のステロイド剤を点滴投与する治療法)を受けるために10日ほど入院しました。
退院後の現在は膠原病専門のクリニックに通院し、関節リウマチ及び線維筋痛症、そして慢性疲労症候群(筋痛性脳脊髄炎)と診断され、ステロイド剤と併用して薬物で激しい痛みを緩和させる治療を受けています。
全身疼痛を伴って深刻な経過を辿るふたつの病気
慢性疲労症候群については現在、病相に対する正しい理解を得るためにも正式な疾患名を、誤解を招きやすい今の疾患名から、新たに「筋痛性脳脊髄炎」と改めようという動きもあります。
この疾患の症状で髄膜に炎症を生じたことが原因で、硬膜に穴が開いて脳髄液が漏れ出した私は、ひどい時には寝たきりのまま全く動けなくなって、トイレに行ったり食事を摂ったりすることすら自力ではままならなくなる場合もあります。
慢性疲労症候群について、髄液が漏れる部分に自己血で栓をする「ブラッドパッチ」という手術が平成28年(2016)年の夏、ようやく健康保険適応となりました。しかしながら、てんかんの持病がある私には禁忌とされる手術だとの診断で、主治医によれば私は激しい痛みをお薬の力を借りつつコントロールしてやり過ごすしかないそうです。
世界を代表する歌姫・レディー・ガガが、過日カミングアウトしたことでいきなり有名になった線維筋痛症も、そして先に挙げた慢性疲労症候群も、今のところ自己免疫疾患に近似の疾患だろうと考えられつつも、その治療法どころか原因すらもきちんと判明していません。
現時点でわかっているのは、それらの病気が生真面目な女性に多く出現すること、リウマチなどの自己免疫疾患と併発することが多いこと、そしてあり得ないほどの傷みを中心とする全身症状が表出するために、日常生活上大きな困難や支障が起こり得るという点のみです。
今はまだ、発病までのメカニズムも効果的な治療法もはっきりせず、症状が重くて日常生活にダイレクトに影響を及ぼすにも関わらず、健康保険適応の疾患にも認められてはおらず(要するに自費での診療)、福祉の介入はおろか人々にその存在さえあまり知られてはいない線維筋痛症や慢性疲労症候群であります。
これら二つの病気は近似疾患であろうとされており、また研究が進んだ結果、恐らく一種の自己免疫疾患だろうとも専門家の間では考えられています(そのため、この二つの病気は主にリウマチ科で治療が行われています)。
ともあれ、現在の私はがんの治療と並行して自己免疫疾患の治療、そして線維筋痛症や慢性疲労症候群の症状からくる著しい倦怠感と激しい全身の疼痛の緩和にウエイトを置きつつ、対症療法メインの闘病生活を続けています。
子宮頸がんワクチン被害者の訴え
膠原病外来に通院しつつ感じること、そして自身が子宮頸がんを発症するのと併せて自己免疫疾患の症状が現れたことを鑑みる時、私がふと気づいたのは膠原病外来の患者さんたち、そして私を含む線維筋痛症の患者さんや慢性疲労症候群の患者さんの主訴が、子宮頸がんワクチン被害者の訴えている症状とそっくりだという点です。
未だ安全性の確認が完全にはなされてはおらず、そのためか現時点では厚生労働省の見解も「保護者各々の自主的な判断に委ねた」状態です。
よくよく考えてみると…膠原病外来に来ている女性たち、とくに全身疼痛を訴えて受診する彼女たちの症状が、子宮頸がんワクチン接種によって副作用を生じた女の子たちに表出した症状と酷似しているという事実を、私はひとりの成人女性として本当に不安に感じてしまうのです。
激しい痛みと倦怠感から始まって、集中力や記憶力の低下、痛みや筋力の低下、全身の痺れによって次第に寝たきりになってしまう…その経過自体、両者本当にそっくりなのです。
医学的知識が皆無の私でさえも、成人女性である自身が現実に子宮頸がんを発症後、二次的に派生した自己免疫疾患、とりわけ痛みや倦怠感、記憶力の低下などを主訴とする線維筋痛症や慢性疲労症候群の症状と、子宮頸がんワクチンの副作用を訴える少女たちを苦しめている症状とがそっくりなのですから「これはきっと何かあるんだな」と勘ぐってしまうのは当たり前の感覚ではないでしょうか。
因みに自己免疫疾患(膠原病)の一番発症し易い時期は二十代から四十代といわれていて、その説を言質するかのように、私が通院している膠原病の専門外来を訪れているのは、やはり最も妊娠や出産に適している世代の女性の患者さんが多いイメージを受けます。しかしながら、ティーンエージャーの女の子の患者さんも一定数来院しています。私が存じ上げている最年少の患者さんは十一歳・小学6年生のお嬢さんでした。
あくまで因果関係は不明ですが、皆さんまだ小中学生、あるいは高校生といった年頃の女の子なのに、口々に全身疼痛と著しい疲労感とを訴えていて、年齢相当の覇気がないというか…見た目まるで向精神薬で鎮静された精神科の患者さんのようなお嬢さんも多いことが、強く印象に残っています。
また、ご本人やお母さんにお話を伺ってみると、彼女らの多くは実際に医療機関などで子宮頸がんワクチンを打った経験がおありとのことで、それでなおさら私は怖いなあと(先に挙げた)自分の持論が半分証明されたように感じたものです。
幼い少女の無知につけこむ子宮頸がんワクチン
現実の話として鳴り物入りで始まった子宮頸がんワクチン接種を、厚生労働省も当初はあれだけ錦の御旗を掲げて「小学6年生及び中学3年生の女子は全員接種!」と叫んでいたにもかかわらず、副作用の症例が報告されると一転「保護者の自己判断で」などと言いだす辺りからして、まるで厚労省が責任逃れをしているように思え、私はそこに狡いものを感じてとても腹立たしくなります。
だいたい、きちんと安全性すら確認できていないワクチンを「必ずしも(少女たちが訴える)“副作用”との因果関係が認められない」=「(因果関係がはっきりしないから)ワクチンは安全」だと論点をすり替えて、事実上積極的に接種するよう推奨している官庁としての「良心」を疑います。
私の従妹の娘は、彼女が小学6年生の時にやはり、「接種すれば一生がんにならない、すごい予防注射があるんだって」と教わったと、学校で担任の先生と保健室の先生から積極的な接種を勧められ、子宮頸がんワクチンの無料接種についてのリーフレットを持ち帰ってきました。
その頃ちょうど私が子宮頸がんの手術を受けた直後だったこともあり、母親である従妹もワクチンにはかなり懐疑的になっていたので、小学6年生の少女は結局ワクチン未接種のままとなりましたが、小学校で教わった内容を疑うという発想も持ち合わせてはいない幼い6年生の女の子本人は、ワクチンを接種しさえすれば一生がんにならないのだと本気で信じ込んでいました。
幼い少女の無知につけこんで、甘言を巧みに操っては、安全なのかどうかさえわからないワクチン接種を迫る厚労省、そしておそらく何かの力で厚労省のお役人に取り入っては、結果的に少女を食い物にし、時に副作用で少女らの夢を無残に摘み取ってしまう汚い大人のやり口に対して、私は本当に怒り以外の何をも感じ得ません。
費用の面から鑑みてもワクチン接種より正しい性教育
子宮頸がんの原因とされるHPVウイルスには、性体験を持つ女性の八割以上が、人生に一度は感染するといわれ、成人男性の多くも同じように感染します。しかも、HPVにはじつに160種類以上のウイルスが存在するといわれ、しかしワクチンで予防できるのはそのうちのたった2種類だけです。
安全性の是非を問う以前の話として、公費で通算三回接種しなければならないワクチン代を賄うとなれば、そこには莫大な額の血税を投入せざるを得なくなります。
ましてや、160種類以上存在するなかのたった2種類しか予防できず、安全性の不確かなワクチンを推奨するよりはむしろ、子どもたちにも大人にも正しい知識を学んでもらう機会としての性教育を徹底して、誰もが安全なセックスに徹し、さらにはセックスの経験がある女性に対しては、年齢は関係なく全員に無償での子宮頸がん検診の機会を保障するのが何よりのがん予防の手段だと、そう個人的には感じています。
素人考えでしかないけれど…今の私が心から願うこと
膠原病病棟に入院中の患者さんや線維筋痛症や慢性疲労症候群の患者さんは、コントロール不可能な激しい痛みと全身の筋肉の痺れのために車椅子生活を強いられています。
自己免疫疾患に苦しむ私たちの姿と、子宮頸がんワクチンを接種したせいで、本来キラキラなはずの未来が大きく狂わされたお嬢さんたちの、自身の力では動くこともままならない痛々しい姿とが、ぴったり重ね合わされるこの現実を、私はとても単なる偶然だと思ったりはできません。
私自身が子宮頸がんの発症を契機に、自己免疫疾患の症状も表出した経緯を鑑みればなおさら、本当のことを報道されず、真実を知る機会すら与えられないもやもや感にたまらなくなってしまいます。
折しも今般トランプ米大統領が訪日されます。とにかく…「歴代大統領一の変わり者で保守的なのを超えてむしろ右寄りだ」とか「娘のイヴァンカのへ57億円の寄付は、日本が属国たる証拠だ」などと揶揄されまくっている彼ではありますが、いっぽうでトランプ大統領は非常に薬害の問題に関心を示されておられ、反ワクチン論者であることは国内外を問わず有名な話なんだそうです。
政治のことは全くわかりませんが、トランプ大統領には東京でも本当のことをズバリとおっしゃっていただきたい。そして国民の間ではもはや公然の秘密となりつつある、厚労省と製薬会社の癒着の問題も、バッサリ切って事実を私たち日本国民に知らしめていただきたい。エリートとしての医師と、厚労省の偉い人、製薬会社が絡み合って真実さえ話せない閉塞感一杯の社会に風穴を開けていただきたい。
私は政治や外交問題はおろか、医学的な知識も殆んど持ち合わせてはいません。しかし、私自身が子宮頸がんサバイバーとして闘病生活を送る中で、私をがんの症状以上に苦しめ悩ませたものは膠原病や自己免疫疾患の症状、そのなかでも激しい全身疼痛と倦怠感、記憶力の低下を主訴とする線維筋痛症や慢性疲労症候群の各症状であったこと。そしてそれらは子宮頸がんワクチン被害者の少女たちに顕著に表れる症状であること。
単なる私の思い込みならいいのですが、私の娘の世代に相当する若い女の子たちが安心して未来に希望を抱けるためにも、偉いお医者さん方には早くその因果関係をはっきりさせて頂きたいと心から願います。
さらには、厚労省をはじめとする関係機関には、不都合な部分も含めて真実を私たち国民にはっきり提示していただきたい。正しい意味で私たち国民の生命と健康をきちんと守り続けていただきたい。
子宮頸がんワクチンの影響で人生が狂わされたと訴えている少女たちの涙を無駄にしないためにも、日本国内外問わず権力をお持ちの方こそ真摯にこのテーマに向き合っていただきたいと願わずにはいられません。
そう私は心から強く願っているのに現在私が通院している、膠原病を専門に扱うクリニックの掲示板にも「子宮頸がんワクチン・当院で接種できます」のポスターが貼ってありました。子宮頸がんワクチンは、自費での接種を希望すれば非常に高額だと聞きます。ひとりでも多くの少女にワクチンを注射すれば、それだけ医療機関の儲けに繋がるのでしょうか。
子宮頸がんワクチンの接種を推奨するポスターを前に、受診するたびにいつも真摯に自身の訴えに耳を傾けてくださる膠原病外来の主治医の表情を思い浮かべつつ、何だかとても複雑な気持ちに陥った私でした。
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