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[シリーズ③]うつ病の名医はいるのかを精神科認定看護師に聞いた

シリーズの3回目ということで、今回も精神科認定看護師の女性に「うつ病の名医はいるのか」を書いていただきました。

この精神科認定看護師が勤めている病院は「精神療法」を併用して、うつ病を治そうとしていますので、まだ良心的です(精神療法とは薬を使わずに、対話などを通して精神の病気を治そうとする方法です)。

しかし、ほとんどのメンタルクリニックでは薬物療法が主体ですので、薬による副作用を考えなくてはいけません。

では、精神薬にはどのような副作用があるのか。

トロント大学の研究では精神薬を使うと脳の灰白質と白質の容積が小さくなることが分かっています。

灰白質と白質は神経細胞に関わっているので、ここがダメージを負うと認知機能にも問題が出てきます。つまり、認知症のような症状が出るということです(参考記事「認知症の中でも一番多いアルツハイマー型認知症の症状は?」)。

内海聡医師も精神薬による脳の委縮を問題視しており、「覚せい剤などの違法薬物より脳の委縮は大きい」と言っています。

そもそも患者の脳の委縮に最も関係しているのは精神薬であることがわかっています。
最も脳質量の減少が大きかったのは、「集中的」に抗精神病薬の薬物治療を受けた患者、つまり最も長期的かつ最大用量の投薬を受けた患者であることが判明しており、それは精神症状の重症度、違法薬物、アルコールなどの乱用度よりも抗精神病薬による薬物治療の「集中度」のほうが、はるかに強力な脳質量減少の予測因子であることがわかっています。

「内海聡さんのフェイスブック」より引用

このように抗うつ薬による副作用によって脳に障害を負ってしまうと将来、早い時期に認知症になる恐れがありますので、服用には注意する必要があります。

  • 灰白質は,脳の表面の神経細胞のいるところです
  • 白質は,灰白質の内側にあって神経細胞の連絡路(軸索)です

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黄色い矢印が灰白質(灰色に見える),赤い矢印が白質です(白く見える)

「脳神経外科 沢村豊のホームページ」より引用

前置きが長くなりましたが、精神科認定看護師に書いていただいた「うつ病の名医はいるのか」を読んでください。

Q
妻がうつ病っぽいので、どこかに受診させようと思っています。

うつ病の名医の先生はどこを探せば見つかりますか?               
(30代 男性  青木さん)

A
青木さんご質問ありがとうございます。

奥様の症状 ご心配ですね。
結論から先に申し上げます。 
「完璧な精神科の名医は存在しない」のです。  
ご期待の応えられなくて大変申し訳なく思います。

「名医」に求める条件とは?

書店などに「疾患別にみる名医図鑑」とか、「評判の良い病院ランキング」とかの見出しが書かれた本や雑誌が並びます。はたしてそれらは事実を伝えているのでしょうか。

青木さんは名医に何を求めますか?「病気を治してくれる」ことを一番の条件に出すかもしれません。外科では手術の手技や内視鏡検査の手技などに上手い下手は多少あるかと思いますが、精神科においては「病気を治す」過程での関わりがとても重要だと考えます(精神療法で治せればそれに越したことはありません)。ですので、青木さんの奥様がどんな医師に対して信頼を置くことができるかということが最大の条件になります。

前述の本や雑誌に取り上げられているような医師と働いたことのある看護師何人かに聞いても、本の記事通りだという話を聞いたことがありません。本や雑誌まで行かなくても、病院の外来待合室では担当医の噂話に花が咲きます。10人中9人が「A先生が嫌い」と言っていても、残りの一人がA医師を絶賛している場合もあります。

精神科医の場合、患者との「相性」がとても重要のような気がしています。その次に受診のしやすさ。そして、処方される薬の説明がわかりやすい。などが目安となれば良いのではないでしょうか。

ついつい、大きな病院に受診をと考えがちなのですが、小さなクリニックの医師はみな大きな病院を経験してきている医師です。大きな組織にいては、自分の診療ができないと考えて開院している医師なのかもしれないと考えれば、そんな中に名医が潜んでいそうな気になりませんか?

自宅近くのクリニックにまずは受診されることをお勧めします。待ち時間も比較的少なくて、受診での疲れも軽減されるので、「受診する」という行動を億劫がらなくなります。

奥様を受診させる前に青木さん自身がそのクリニックに相談しに行くということも可能です。いくつか回って、ここならば、と思ったところに奥様と一緒に受診してみるというのはいかがでしょうか。

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