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リグロスを使った歯茎再生術とは?効果・具体例・治療の流れを徹底解説

歯周病は成人の多くが抱える生活習慣病のひとつであり、進行すると歯を支える骨(歯槽骨)や歯茎が破壊され、最悪の場合は歯を失ってしまいます。

従来の歯周病治療では、進行を止めることはできても「失われた歯周組織を取り戻す」ことは困難でした。しかし、再生医療の進歩によって状況は大きく変わりつつあります。その代表的な治療法が、「リグロス(歯周組織再生医薬品)」を用いた歯茎再生術です。

この記事では、リグロスを使った歯茎再生術の仕組み、治療の流れ、適応症例、効果や注意点までを、具体例を交えながら詳しく解説します。歯周病治療に関心のある方や、再生療法を検討している方にとって有益な情報を網羅しています。


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リグロスとは何か?

リグロス(商品名:リグロス®)は、日本で初めて保険適用となった歯周組織再生医薬品です。成分は「塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)」で、細胞の増殖や血管新生を促進する働きを持ちます。これにより、歯槽骨や歯根膜、セメント質といった歯を支える組織が再生することを目的としています。

従来の歯周病治療では、歯周外科手術によって炎症を取り除き、病気の進行を食い止めることは可能でした。しかし失われた組織を再生するのは難しく、患者にとって「歯を残すための最後の希望」がリグロスを用いた歯茎再生術と言えるのです。


リグロスを使った歯茎再生術の仕組み

リグロスの主成分であるbFGFは、体内にもともと存在する成長因子のひとつです。これを患部に応用することで、次のような再生プロセスが起こります。

  1. 血管新生の促進
    リグロスを投与すると周囲に新しい血管が形成され、酸素や栄養が供給されやすくなります。これが再生の基盤を作ります。

  2. 細胞の増殖と分化
    歯茎や歯槽骨を構成する細胞が活性化し、新しい組織が形成されていきます。

  3. 歯周組織の再構築
    歯根膜やセメント質、歯槽骨がバランス良く再生し、歯を再びしっかり支える状態を目指します。

このように、リグロスは単なる炎症コントロールではなく「失われた歯周組織の再生」を可能にする画期的な治療薬なのです。


治療の流れ

リグロスを用いた歯茎再生術は、歯周外科手術と組み合わせて行われます。一般的な流れは以下の通りです。

  1. 初期治療(歯周基本治療)

    • スケーリング・ルートプレーニング(歯石除去)

    • ブラッシング指導

    • 生活習慣の改善指導
      炎症を抑え、清潔な口腔環境を整えることが不可欠です。

  2. 再評価
    初期治療後に歯周ポケットの深さや炎症の状態を再確認し、リグロスを使った再生療法が適応可能か判断します。

  3. 歯周外科手術

    • 局所麻酔を行い、歯茎を切開して患部を露出させます。

    • 感染した組織や歯石を徹底的に除去します。

    • 欠損部分にリグロスを塗布します。

  4. 縫合と治癒
    歯茎を縫合し、数週間から数か月の間に再生が進みます。定期的に通院して治癒状態を確認します。


適応となるケース

リグロスを使った歯茎再生術は、すべての歯周病患者に適用できるわけではありません。特に以下のようなケースに効果が期待できます。

  • 中等度から重度の歯周病で、歯槽骨が部分的に失われている場合

  • 骨欠損が縦方向(垂直性欠損)の場合

  • 若年〜中年で歯を残す希望が強い患者

  • 全身状態が良好で外科手術に耐えられる方

逆に、骨が水平的に全体的に吸収してしまっているケースや、重度の糖尿病など全身疾患がある場合は適応外となることがあります。


具体例:リグロスを用いた治療の実際

事例1:40代男性、中等度歯周病

患者は右下奥歯の歯周ポケットが7mmあり、歯槽骨が垂直的に失われていました。初期治療の後、リグロスを用いた歯周外科手術を実施。半年後の再評価でポケットは3mmに改善し、X線画像でも骨の再生が確認されました。歯を抜かずに温存することができ、患者の満足度は高い結果となりました。

事例2:30代女性、前歯の歯茎下がり

審美的な悩みから来院。骨の吸収が局所的であったため、リグロスを併用した手術を実施。術後6か月で歯茎の位置が改善し、歯槽骨も部分的に再生。見た目と機能の両方が回復しました。

事例3:50代男性、重度歯周病

全体的に骨吸収が進んでいましたが、特定部位に限局した垂直性欠損が認められたためリグロスを応用。手術後1年で該当部位の骨再生が確認され、ブリッジやインプラントを回避することができました。


リグロス治療のメリット

  • 保険適用のため経済的負担が少ない

  • 自家骨移植に比べて侵襲が少ない

  • 再生効果が科学的に証明されている

  • 長期的に歯を残す可能性を高める


注意点と限界

リグロスは万能薬ではありません。以下のような注意点があります。

  • 全ての骨欠損に有効ではない(水平性欠損には効果が乏しい)

  • 喫煙者は効果が低下する

  • 手術後の口腔清掃が不十分だと再発しやすい

  • 全身疾患によって適応が制限される場合がある


治療後のケア

リグロスを使った歯茎再生術の成功には、術後のメンテナンスが不可欠です。

  • 定期的な歯科検診(3か月に1回程度)

  • 毎日の丁寧なブラッシング

  • 食生活や喫煙習慣の改善

  • 医師の指示に従ったセルフケア

再生した歯周組織を長く維持するためには、患者自身の努力が大きな鍵を握ります。


まとめ

リグロスを使った歯茎再生術は、歯周病で失われた歯周組織を取り戻す可能性を開いた画期的な治療法です。特に垂直性の骨欠損に効果を発揮し、保険適用によって多くの患者が利用できるようになりました。ただし、適応や限界もあり、術後のケアを怠ると再発のリスクも残ります。

歯周病治療は「進行を止める」だけでなく、「失われた組織を再生する」時代へと進化しています。歯を失いたくない方にとって、リグロスは非常に有力な選択肢と言えるでしょう。

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