「大腸から膿が出る」という症状は、多くの場合、腸や肛門付近の病気が背景にあります。膿は体が炎症や感染と戦っているサインであり、放置すると重症化する可能性があります。
特に大腸や直腸は消化器の最終部分であり、細菌が多く存在するため感染や炎症が起こりやすい部位です。本記事では、大腸から膿が出る原因、症状、治療方法、予防法について9000文字にわたり詳しく解説します。
大腸から膿が出るとはどういうことか?
「膿」とは、体の中で細菌やウイルスなどの異物と白血球が戦った結果として発生する老廃物です。白血球が細菌を攻撃し、その死骸や組織の破片、タンパク質などが混ざってできるのが膿です。
正常な状態では大腸や直腸から膿が出ることはなく、この症状は病気が進行しているサインと考えるべきです。
膿が大腸や直腸から排出される場合、多くは以下の経路で見られます。
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便と一緒に膿が混じる
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肛門から直接膿がにじみ出る
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排便時に膿が出る
このような症状が出た場合、自己判断で放置せず、必ず消化器内科や肛門科を受診する必要があります。
大腸から膿が出る主な原因
大腸や直腸から膿が出る原因は多岐にわたります。代表的な疾患を一つずつ詳しく説明します。
1. 大腸憩室炎(だいちょうけいしつえん)
大腸の壁に小さな袋状の膨らみ(憩室)ができ、そこに便や細菌がたまることで炎症を起こす病気です。炎症が強くなると膿がたまり、便と一緒に排出されることがあります。ひどい場合には膿瘍(膿の塊)や穿孔(穴が開くこと)に進展するため注意が必要です。
2. 潰瘍性大腸炎やクローン病(炎症性腸疾患)
自己免疫の異常によって腸に炎症が起こる慢性疾患です。腸の粘膜に潰瘍ができ、そこから膿が出ることがあります。長期にわたって再発を繰り返すのが特徴で、適切な治療と生活習慣の管理が不可欠です。
3. 大腸がん
大腸がんは腫瘍が大きくなると潰瘍を形成し、感染を伴うことで膿が出ることがあります。血便や体重減少、便秘や下痢の繰り返しなどの症状があれば、膿の排出と合わせて精密検査が必要です。
4. 痔ろう(肛門周囲膿瘍)
大腸や直腸ではなく肛門付近に原因があるケースも多いです。肛門腺に細菌が入り込み、膿がたまる「肛門周囲膿瘍」ができ、それが皮膚にトンネルを作ると「痔ろう」になります。痔ろうがあると膿が肛門から絶えず出るようになります。
5. 感染性大腸炎
サルモネラ菌、大腸菌O157、カンピロバクターなどの細菌による食中毒や感染症でも、炎症によって膿が便に混ざることがあります。発熱や下痢、腹痛を伴うのが特徴です。
6. 性感染症による直腸炎
クラミジアや淋菌などの性感染症は直腸にも感染し、膿が排出されることがあります。特に性行為の形態によっては直腸炎を起こすケースが増加しています。
大腸から膿が出るときの症状
膿が出る場合、同時に他の症状も見られることが多いです。
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腹痛や下腹部の違和感
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発熱
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血便や粘液便
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排便時の痛み
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お尻の周囲の腫れや違和感
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下痢や便秘の繰り返し
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体重減少、食欲不振
これらの症状は病気の種類や進行度によって異なりますが、特に血便+膿+腹痛の組み合わせは危険信号です。
医師による診断方法
膿の原因を突き止めるためには、医師による診察と検査が不可欠です。主な検査は以下の通りです。
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問診と視診:症状の経過や膿の性状を確認
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直腸診:肛門から指を入れて異常の有無を調べる
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大腸内視鏡検査:大腸全体をカメラで観察し、炎症や潰瘍、腫瘍を確認
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便培養検査:便に含まれる細菌やウイルスを調べる
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血液検査:炎症反応や貧血の有無を確認
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画像検査(CT・MRI):膿瘍や腫瘍の有無を調べる
治療方法
大腸から膿が出る場合の治療は、原因によって大きく異なります。
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抗生物質治療
感染性大腸炎や膿瘍がある場合に有効です。 -
外科手術
痔ろうや重度の憩室炎、大腸がんの場合は手術が必要になることがあります。 -
炎症性腸疾患の治療
潰瘍性大腸炎やクローン病では、ステロイド、免疫抑制剤、生物学的製剤などを用いた長期治療が行われます。 -
支持療法
点滴による栄養管理、絶食による腸の安静なども行われます。
放置するとどうなるか?
大腸から膿が出ているのに放置すると、次のような合併症を引き起こす可能性があります。
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腸管穿孔(腸に穴が開く)
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腹膜炎
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敗血症(命に関わる全身感染症)
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大腸がんの進行
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痔ろうの慢性化
膿が出るという症状はそれ自体が緊急のサインであり、早期受診が最も重要です。
自宅でできる予防法と生活習慣改善
病気を防ぐためには、生活習慣の改善が大切です。
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バランスの取れた食事(食物繊維・発酵食品の摂取)
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適度な運動
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規則正しい排便習慣
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アルコール・喫煙の制限
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清潔な生活環境
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性感染症予防のための安全な行動
まとめ
「大腸から膿が出る」という症状は、軽視すべきではありません。憩室炎、炎症性腸疾患、大腸がん、痔ろう、感染症などさまざまな原因があり、その多くは放置すると重症化します。膿は体のSOSサインです。早期の医療機関受診と適切な治療が、健康を守る最善の方法です。

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