卵は私たちの食卓に欠かせない栄養食材です。近年では「完全栄養食品」とも呼ばれ、その健康効果に注目が集まっています。
しかし一方で、「卵を生で食べるのは危険」「消化に悪い」「栄養を吸収できない」など、さまざまな噂も存在します。
この記事では、卵を生で食べることのメリット・デメリットと、安全に楽しむための方法について、科学的根拠をもとにわかりやすく解説していきます。
卵を生で食べるとなぜ「良くない」と言われるのか?
一般的に“生卵は良くない”と言われる理由は、大きく以下の3つに分けられます。
① サルモネラ菌による食中毒リスク
卵の殻や内容物にまれにサルモネラ菌が付着していることがあります。この菌は胃腸炎の原因になり、嘔吐・発熱・腹痛・下痢といった症状を引き起こします。
とくに免疫力の低い乳幼児・高齢者・妊婦にとっては重症化しやすく、生食は注意が必要です。
② アビジンによるビオチン欠乏の恐れ
卵白には「アビジン」という糖タンパク質が含まれており、ビタミンB群の一種である「ビオチン」と結合し吸収を阻害します。大量に生卵を食べ続けた場合、ビオチン欠乏症につながる可能性があるとの報告があります。
③ タンパク質の消化吸収率が低くなる
生卵よりも加熱した卵の方がタンパク質の消化効率が高いことがわかっています。生の卵白は消化に時間がかかり、人によっては胃腸に負担がかかる可能性もあります。
生卵のメリットはあるの?
悪いところばかりが強調されがちな生卵ですが、次のようなメリットも存在します。
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加熱によって壊れやすいビタミンB群や酵素活性を効率よく摂取できる可能性がある
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味と香りがシンプルで素材そのものの旨味が楽しめる
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**卵かけご飯(TKG)**など、簡単で栄養価の高い食事になる
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調理不要で時間がかからず忙しい朝にも最適
このように、生卵は「手軽で栄養価の高い食材」として優秀な側面を持つ一方で、扱い方を間違えるとリスクがある食材でもあります。
日本で生卵が食べられるのは“奇跡”?
海外では、基本的に卵は生で食べません。欧米では卵を洗浄せずに販売することがあるため、サルモネラ菌による食中毒のリスクが高く、生食は推奨されていません。一方、日本では、
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洗浄・殺菌済の卵を出荷
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温度管理された流通(10℃以下)
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賞味期限は**“生食できる期間”**
として定められています。
このような厳しい衛生基準のおかげで、日本では生卵を安心して食べられる環境が整っているのです。
生卵で食べるべきでないケース
次のような場合は加熱調理をおすすめします。
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賞味期限が切れた卵
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ひびが入っている卵
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常温で長時間放置された卵
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免疫力が未発達な乳幼児
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高齢者や妊娠中の方、体調が悪いとき
万が一のリスクを避けるため、上記の条件に該当する場合は火を通して食べましょう。
安全に生で食べるためのポイント
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購入後すぐに冷蔵庫(10℃以下)に保管
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賞味期限内に必ず使用
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殻に触れたあとは必ず手を洗う
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割った卵は時間をおかずすぐに食べる
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割れや汚れのある卵(ひび卵)は生食に使わない
ほんの少しの注意をするだけで、生卵の食中毒リスクは大幅に減らすことができます。
よくあるQ&A
Q:1日に何個まで生卵を食べて大丈夫?
A:一般的には1~2個程度なら問題ありません。ただし、タンパク質の摂りすぎは腎臓に負担がかかるため、健康状態に応じて調整を。
Q:アビジンによるビオチン欠乏は本当に起こるの?
A:生卵を大量に長期間食べ続けた場合に限ります。通常の食生活で1日1~2個食べる程度であれば心配はいりません。
Q:サルモネラ菌はどのくらいの頻度でついてるの?
A:日本では約3万個に1個程度とも言われています。非常に低い確率ですが“ゼロ”ではありません。
結論:卵は生で食べても良い!ただし“条件付き”で
卵は栄養豊富で、日本の衛生管理体制のもとでは基本的に生で食べて問題ありません。ただし食品安全の観点から、「賞味期限内・ひび割れなし・冷蔵保管・すぐに食べる」という4つのポイントを守ることが重要です。
体調が悪い時や免疫力が低い人は、念のため加熱調理がおすすめです。そして、加熱した卵はタンパク質の吸収率が高くなるメリットもあります。生卵と加熱卵、それぞれの特性を理解して使い分けることで、卵を最大限活用した健康的な食生活が実現できます。

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