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原住民に成人病は存在しないのか。エビデンスを示します

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成人病(現在は主に「生活習慣病」と呼ばれる)は、食生活、運動不足、ストレス、遺伝などさまざまな要因に起因する疾患群ですが、原住民社会における成人病の存在については非常に興味深い研究対象となっています。

一般的に、伝統的な食生活や生活様式を維持している原住民社会では、現代的な成人病の発症率が低いとされています。しかし、これは一概にすべての原住民社会に当てはまるわけではなく、地域や文化によって異なる部分もあります。

ここでは、原住民における成人病の発症率の低さに関するエビデンスを、いくつかの観点から詳しく説明します。

1. 伝統的食生活と成人病の関係

多くの原住民社会では、狩猟採集生活や農耕、漁業に基づく食生活が伝統的に行われており、これらの食事は自然界から採取したものに依存しています。このため、食品添加物や加工食品、過剰な糖分、トランス脂肪酸などの摂取が少なく、成人病のリスクを低減させるとされています。

事例1: アメリカ・ナバホ族

ナバホ族は、アメリカ先住民の中で伝統的な生活様式を長い間守ってきた一例です。ナバホ族の食生活は、草食中心で、肉類も自ら狩猟したものを食べるという伝統的な方法が取られています。ナバホ族が成人病のリスクを低く保つ理由として、自然食と運動量が挙げられます。

しかし、現代化が進み、加工食品や高カロリーな食べ物が普及すると、成人病が増加する傾向も見られます。特に糖尿病や心血管疾患が増えているという報告もあります。

事例2: 南太平洋のポリネシア・トンガ

トンガのような南太平洋の島々に住む原住民は、伝統的にはカロリー摂取が豊富で、ココナッツ、魚、果物を中心とした食生活を送ってきました。この食事スタイルでは、伝統的に肥満や糖尿病、心血管疾患の発症率は低かったとされています。

しかし、近年は西洋式の食生活が普及し、成人病の発症率が急増しています。特に、トンガでは糖尿病が急増しており、食生活の変化が成人病のリスクに大きな影響を与えていることが示唆されています。

2. 生活習慣と運動量

伝統的な生活様式を維持している原住民は、現代社会に比べて圧倒的に身体的に活動的です。狩猟や採集、農作業、漁業などは、肉体労働が主体であり、そのため日常的に身体を動かし、運動量が非常に多いのが特徴です。これが成人病の発症率を低く保つ要因と考えられています。

事例3: アフリカの部族(マサイ族)

ケニアやタンザニアのマサイ族は、伝統的に家畜の飼育や移動生活を行っており、日常的に長時間歩くことが多く、運動量が非常に豊富です。このため、マサイ族の間では肥満や心血管疾患の発症率が低いとされています。また、マサイ族は伝統的な食事スタイル(肉、乳製品、穀物など)を保っており、これが健康に良い影響を与えていると考えられています。

3. 精神的な要因と成人病

原住民社会においては、共同体としてのつながりや精神的な安定が重要視されています。多くの原住民は、自然との調和を大切にし、ストレスの少ない生活を送ることができます。これが身体的健康にも良い影響を与えている可能性があります。現代社会の急速な都市化とストレスの多い環境は、成人病を引き起こす重要な要因とされており、精神的な健康が肉体的な健康にも影響を与えることが示唆されています。

事例4: アマゾンのヤノマミ族

アマゾンのヤノマミ族は、狩猟採集生活を続ける部族であり、非常に自然とのつながりを大切にしています。ヤノマミ族の間では、精神的なストレスが少なく、生活のペースも比較的穏やかです。これが身体的健康を守る要因の一つとされています。また、伝統的な食事や生活習慣が成人病を予防する要因として関与している可能性もあります。

4. 現代化と成人病の関係

現代化の進行に伴い、多くの原住民社会では食生活やライフスタイルが急速に変化しています。加工食品や外食の普及、都市化、座りっぱなしの生活など、現代的な生活様式は成人病のリスクを高める要因となっています。特に、西洋式の食文化が流入した地域では、成人病の発症率が急増しています。

事例5: 南米の先住民(インディオ)

南米の先住民の中でも、特にアマゾン地域に住む部族では、伝統的な狩猟採集生活が長らく行われてきましたが、近年は西洋文化が急速に広がり、食生活が変化しています。加工食品やファーストフードが流行することで、糖尿病や肥満、高血圧といった成人病が増加する傾向が見られます。

結論

原住民社会における成人病の発症率が低いのは、主に伝統的な食生活や運動習慣、精神的な安定が大きな要因となっています。しかし、現代化が進む中で、これらの要素が失われつつあり、成人病のリスクが増加しています。特に、都市化や西洋式の食生活の普及は、成人病の発症を引き起こす主要な要因となっていることがエビデンスから明らかになっています。

このように、原住民における成人病の存在は、生活環境やライフスタイルの変化に大きく依存していると言えます。

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