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歯周病が酷い人は癌になりやすいのか。デビデンスを示します

歯周病(歯周炎)が癌のリスクを高める可能性については、近年の研究で注目されています。歯周病が進行すると、歯肉や歯周組織が炎症を引き起こし、最終的には歯の喪失やさらなる健康問題を引き起こすことがあります。歯周病が癌とどのように関連しているのかについて、近年のエビデンス(データ)をもとに説明します。

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1. 歯周病とは

歯周病は、歯肉に炎症が起こり、歯の周囲の組織を損傷する疾患です。進行すると、歯周組織が破壊され、最終的には歯が抜けることもあります。主な原因は、歯垢(プラーク)に含まれる細菌であり、これが歯と歯肉の間に溜まり、炎症を引き起こします。

初期段階では歯肉炎として知られ、腫れや出血が見られますが、進行すると歯周炎となり、歯を支える骨や組織まで破壊します。歯周病は、口腔内だけでなく、全身の健康にも悪影響を及ぼすことが知られています。

2. 歯周病と癌の関係

歯周病と癌の関連性については、いくつかの研究が行われています。その結果、歯周病が特定の種類の癌、特に口腔癌、食道癌、肺癌、大腸癌、さらには膵臓癌との関連があることが示唆されています。

2.1 口腔癌と歯周病

口腔癌は、歯周病との関連が最も明確に示されている癌の一つです。歯周病の進行が口腔内の慢性的な炎症を引き起こし、その結果、口腔内の細胞に悪影響を与えることがわかっています。炎症が持続することで、DNA損傷や細胞の変異が引き起こされ、癌の発症リスクが高まる可能性があります。

また、歯周病に関連する細菌が、口腔内の細胞に直接的に影響を与えることで、がん細胞の発生を促進することも示唆されています。これに関連する研究は増えており、特に口腔癌のリスクが歯周病によって高まることが確認されています。

2.2 大腸癌、膵臓癌、食道癌との関連

歯周病が大腸癌や膵臓癌、食道癌のリスクを高めるというエビデンスもあります。これらの癌は、慢性的な炎症や免疫系の異常が影響を与えるとされ、歯周病もその一因と考えられています。

例えば、大腸癌においては、口腔内の炎症性疾患が腸内フローラに影響を与え、腸内の免疫反応を引き起こすことが考えられています。歯周病によって引き起こされる全身的な炎症が、腸内での炎症を引き起こし、それが癌発症に繋がる可能性があるという理論です。

また、膵臓癌に関しては、歯周病による慢性炎症が膵臓内での炎症反応を引き起こし、それが膵臓の細胞にダメージを与えることで、癌の発生リスクを高めることが示唆されています。

2.3 炎症と癌のメカニズム

歯周病による慢性炎症が、癌発症のリスクを高めるメカニズムは、いくつかの経路によって説明されています。

  • 免疫系の異常: 歯周病は免疫系に負担をかけ、慢性的な炎症を引き起こします。この炎症は、体の他の部分に広がり、癌細胞の発生を促進する可能性があります。特に、炎症によって免疫細胞が活性化され、癌細胞を攻撃する代わりに、正常な細胞を攻撃したり、癌の成長を助けたりすることがあります。

  • 細胞のDNA損傷: 慢性的な炎症は、細胞内のDNAに損傷を与えることがあり、これが突然変異を引き起こし、癌の発生につながる可能性があります。

  • 酸化ストレスの増加: 歯周病に関連する細菌やその産物が体内で酸化ストレスを引き起こし、細胞の老化や異常な成長を促進することがわかっています。酸化ストレスは、細胞が癌化する一因とされています。

2.4 血管新生の促進

歯周病による炎症が、血管新生(新しい血管の形成)を促進する可能性もあります。癌細胞は、栄養と酸素を供給する新しい血管を必要とします。歯周病が引き起こす炎症が血管新生を助け、癌細胞に有利な環境を作り出すことが考えられています。

3. 歯周病の予防と癌予防

歯周病を予防することが、癌のリスクを低減させる可能性があるという研究結果が増えてきています。歯周病を予防するためには、定期的な歯科検診と歯のクリーニング、適切な歯磨きとフロスの使用が推奨されています。また、喫煙や過度の飲酒など、歯周病を悪化させる要因を避けることも重要です。

歯周病が進行する前に適切に治療することで、癌のリスクを減らすことができる可能性があります。歯科医師と相談し、早期の診断と治療を受けることが、健康を守るための重要なステップです。

4. 結論

歯周病が癌のリスクを高めるというエビデンスは確かに存在しています。特に慢性炎症が関与しており、口腔内の健康を保つことが全身の健康にも寄与することが分かっています。歯周病が進行する前に予防策を講じ、早期に治療を受けることが、癌発症リスクを低減させる一助となるでしょう。

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