この記事は30代の女性に書いていただきました。
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2つの抗精神病薬のお世話になってもう10年が過ぎましたが、この2つとは一生分かり合えることはないだろう。そう思うのが、エビリファイとセロクエルです。この2つの薬を飲むことになった経緯を説明します。
20代前半の頃、私は酷いうつ病と拒食症で、大きな総合病院に通っていました。身長163センチで骨格が平均女性より大きかった私は、その夏かなり痩せていました。拒食症が酷くなり、命の危険があるとのことで、私の意志とは関係なく一ヶ月の入院が決定しました。
入院時の体重は、Tシャツにジーンズ姿の状態で41.5キロ。看護師は骨格の大きさと服のシルエットで、そこまで痩せていることに気がつかなかったそうです。
1ヶ月で8.5キロ
入院してすぐに投薬方針も決まり、エビリファイとセロクエルが処方されました。当時は知りませんでしたが、あとで調べたらとても有名な「太る薬」(副作用により太ると言う意味です)。
とにかく体重を増やすことだけを目的とした入院にはもってこいな薬でした。出される食事の半分は残す、売店では飲み物しか買わない、運動もしない。ただひたすら眠り、医師と面談し、薬を飲む。主だった治療は投薬で、カウンセリングともつかない面談を毎日毎日繰り返しました。
入院1か月くらい経ってから退院許可が出ました。そして、帰り支度をするために入院時に履いてきたジーンズに足を通しますが、きつい!!!なんとか入るけれど、きつい。ウェストはギリギリ。このジーンズを買ったときは、体重45キロ。帰宅してすぐに、すこし大きめのものに履き替えました。そのときすでに体重は50キロにまで増えていました。入院時が41.5キロでしたので、たった1か月で8.5キロの増量です。
薬を飲んでいるだけなのに。まともに食べてすらいないのに。私は恐ろしくなりました。「病気が」ではなく「薬が」です。でも、薬を止めると離脱症状が出るので、自分の判断では止められません。これはあまりにも急激な変化でしたので、心がついていきませんでした。
医師に聞くと
「これは水を飲んでも太るって言われるくらいの薬だからね。」
と言って笑っていたのです。医師は薬の力でなんとか体重を増やすという目標を達成したのです。
転院してからは逆に過食症に
退院後、私は過食症になりました。食べる、吐く、薬を飲む、太る…。私はみるみる太り、体重はあっという間に70キロに達しました。退院してから20キロの増量です。容姿の激変に心が付いて来れず、医師と薬に対して不信感を覚えました。
そして、悩んだ末、小さなクリニックに転院しました。「患者の嫌がる薬は効くはずがない」と言って転院先の医師は、エビリファイとセロクエルを徹底して避けてくれました。
しかし一度太ってしまったものが、薬を止めたからと言って同期間で元に戻るはずもありません。何度となく体重の増減を繰り返し、股に肉割れができ、目に見える跡がたくさん残りました。過食と拒食は今も繰り返しています。薬は、結局は根本的な治療にはならないのです。
時が流れ….
私の病状にも変化が起き、この2つの薬エビリファイとセロクエルが再び帰ってきました。その結果、当たり前のように目に見えて体重がどんどん増えます。現在74キロ。最初に入院したころと比べて30キロも体重が増えています。
しかし医師への相談なく、薬を勝手に止めてはいけないし、いま、この2つがないといけないのも私は理解しているつもりです。太る薬って、本当に実在するのです。
[参考記事]
「パキシルの副作用で過食症になり100キロの巨漢に」
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