この記事は「乳がん体験記森さん⑧とうとう乳がんの手術の日です」の続きです。
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手術から3日後、脇の下のドレーンが抜けました。4日後には、シャワーに入りました。この時、初めて自分の傷と対面しました。今まで、怖くて見られなかったのです。
鏡に映った姿は、左乳房がないので、変な感じでした。傷の長さは、手を開いた時の親指から小指までくらいで、一本の線で脇の下までつながっています。傷は、縫ってあるのではなくて、医療用の接着剤のようなものでくっつけてあるのだそうです。今の医療技術はすごいなーと思いました。
後は、退院まで回復を待つだけです。ベッドでごろごろしているだけで、食事が出てくるのですから、骨休みのつもりでゆっくりすることにしました。やがて、1週間の入院期間が過ぎ、退院することになりました。夫に迎えに来てもらい、実家にいる娘を迎えに行き、我が家へ戻りました。
退院しても、まだまだ、腕は動かず、体力も落ちていますが、家事はリハビリになるということだったので、無理をしない程度に、いつもの生活に戻っていきました。ただ、腕が動かないのでハンドルが切れず、車の運転はできません。同じ幼稚園に通う子供がいる隣家のママさんが、幼稚園の預かり保育の送迎をしてくれました。
また、友達に買い物や子供の遊び相手でお世話になりました。今回の入院では、本当に周りの人達に色々な面で支えてもらい、感謝でいっぱいです。
退院から1週間後。傷のテープを貼りかえるために、病院へ行きました。そしてそれからさらに1週間後、病理検査の結果を聞きに病院へ行きました。その結果、ホルモン治療をすることになりました。私の乳がんは、女性ホルモンに依存して増殖するタイプのものだったからです。注射で生理を止め、薬で女性ホルモンの分泌を抑制して、がんができるのを防ぐという方法です。
治療は、5年間続きます。今後の通院は、注射と薬の処方のため、3か月おき。半年ごとに検査もあります。注射はお腹にしますが看護師さんが一瞬で終わらせてくれるので、注射自体の痛みはそれほどではないのですが、注射の前にアイスノンをあてて冷やすので、それが冷たいのと、注射をした日は、その部分に1日痛みがあります。
薬はノルバデックス20という抗女性ホルモン薬で、毎朝1錠ずつ飲みます。飲み始めの頃は、副作用からか、頭痛や関節痛がありました。医師に言うと、副作用のない薬だからと取り合ってもらえず……その点、薬剤師さんの方が理解してくれました。
手術から1年以上が経過し、今は、病気を経験する前よりも、元気に過ごせているようです。何より、食事には気を使っています。体にとって、本当に必要なものを食べ、不必要なものは極力摂らないようにしています。
なぜ、乳がんになったのか……原因はわかりません。でも、心当たりがあるのです。若い頃の食生活が、あまり褒められたものではなかったのです。それと、朝食はパン食。ヨーグルト、チーズ、バターなどの乳製品が大好き。調べてみると、乳製品は(乳がんには)よくないという記述が多いので、医師に訊ねると、1日に1ℓの牛乳を3本飲まない限り問題はないとの答えでした。何が正しいのか、わかりません。それに、今でも、パン食はやめられません。でも、ヨーグルトは豆乳で手作りするなど、工夫しています。
それから、体力をつけようと、できるだけ歩くようにしています。時間ができた時には、夫とハイキングにも出かけています。夏に手術をして、年内いっぱいくらいは、手がまっすぐ上に上げられませんでしたが、家でリハビリとストレッチを行って、普通に動かせるまでに回復しました。
傷の部分は、触ると、痛みのようなしびれのような違和感が、今でもあります。夏場は、すぐかゆくなるので困りました。それでも、この春には、久しぶりの絵の作品展を開催することもできましたし、念願だった文章を書くという仕事もさせていただいています。教会の日曜学校でも教師をやらせていただいていますが、それも手術後早い段階で復帰して、続けています。
そんなこんなで、忙しい毎日ですが、時には休み、家族や友達との時間を大切にし、これからも精力的に頑張っていこうと思います。再発に対する不安は、あります。確かに、大変な経験ではあったと思います。でも、たくさんのことを学ぶことができたのも、事実でした。このことが、いつか誰かの役に立ち、少しでも、誰かの痛みに寄り添えるようになるなら、と願っています。
終わり
[参考記事]
「乳がん患者の8割は朝、パンを食べている」
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