この記事は「乳がん体験 南さん編③検査の結果はトリプルネガティブでした」の続きです。
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両親へ乳がんであることを伝えた日、子供たちにはどのように話すかどうかを主人と夜遅くまで話し合いました。今まで入院なんてしたことがない私が、何も話さず2週間以上も入院すると知ったら余計不安になるのではないか。逆に話すことで不安にさせて、戸惑わせるのではないか。なかなか結論は出ませんでした。
乳がんの方のブログを読んでも、子供に伝えるかどうかは慎重で、デリケートなことだと記されています。まして、我が家の場合、思春期真っ只中の長男と、まだ手のかかる甘えん坊の二男。話をした時の反応が全くつかめませんでした。
「隠すより、話した方がいいよ。」
日付が変わるころ、そう主人が言いました。そうだ、今まで隠し事なんてしてこなかったんだ・・。きちんと話した方がいい。私はそう決心しました。
翌日、一人一人を呼んで、話をしました。
まず、長男。頻繁に病院に行くことが多いことを知っていたため、「やっぱりね。そうだと思った。」の一言のみでした。
二男はちょっと大変でした。胸に癌があってね、入院するよ、ということを伝えるとうわわーん!と泣いてしまいました。二男は、俗に言うテレビっ子で、ドキュメンタリー番組などが好きなため、よく癌の方の話を見聞きしていたのです。癌、と聞いて死をイメージしたのかショックだったのでしょう。
「大丈夫だから。留守番よろしくね。」
そういうのが精一杯でした。
「病気になってごめんね・・。」
この言葉を言いたくても言えませんでした。口にしたらきっと私も泣いてしまう。泣いたら子供たちがもっと不安になってしまう。母親として、平気だよ!と言わなければいけない。そう思いました。
「切ったら治るんでしょ?」
泣き止んだ二男に聞かれ、思わず「当たり前でしょ」と答えてしまった私。
転移しているかもしれないことや、転移する可能性が高い癌だとはとてもじゃないけれど、言えませんでした。子供へ話すということは、覚悟のいることです。子供に話す人もいれば、最後まで話さない人もいる。我が家はもう理解しても良い年齢だと、判断しました。その判断が正しかったのかは今でもわかりません。子供たちに何らかの影響を与えたのは確かです。
次の日、どんな様子かな、と思いましたが、長男はいたって普通。二男は治ると思いこんでいるためか、元気に学校に行きました。きっと、いろいろ思うことがあるのでしょうけれど、あえて触れないようにしているのかもしれません。
私自身、子供に話したことで、胸のつかえが若干取れたように思いました。
大丈夫、この子たちなら乗り越えられる、そう自分自身に言い聞かせ、入院準備をし始めました。意外と入院までの期間は短く、あっという間に入院日。ちょうど子供たちも学校が休みだったため、玄関まで家族総出の見送りとなりました。
「お母さん、頑張って!」の言葉を期待していたのに、子供たちが発したのは、「はいはい、いってらっしゃ~い。」と実にあっさりしたものでした。そんな様子になんだか笑ってしまい、男の子ってそんなものかぁ・・と気が抜けました。
おかげで、涙なんてナシ。「行ってくるからね!」と私も元気に言うことができました。本当は入院前日、子供たち一人一人に手紙を書いたんです。でも、渡さなくてもいいかな、と思いました。絶対治って、元気に帰ってくる!そう思ったからです。
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