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ビタミンCの過剰摂取による問題点。エビデンスを基に解説

ビタミンC(アスコルビン酸)は水溶性ビタミンで、体内に蓄積しにくく、過剰分は主に尿で排出されます。そのため、食品からの摂取だけでは過剰になることは稀ですが、サプリメントなどで高用量(1日2,000mg以上)を長期的に摂取すると、健康被害のリスクが生じます。

主な問題は消化器系の不調ですが、個人差があり、特に腎臓疾患の既往がある人や特定の疾患を持つ人は注意が必要です。以下で、具体的なリスクと科学的エビデンスを説明します。

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主なリスクと症状

過剰摂取の一般的な症状は以下の通りです。これらは主にサプリメントによるもので、用量を減らせば通常回復します。

  • 消化器系の不調: 下痢、吐き気、嘔吐、腹痛、心焼け、食道の腫れ(食道炎)。
  • 腎結石のリスク増加: ビタミンCが代謝されてシュウ酸(オキサレート)になるため、尿中のシュウ酸濃度が上がり、カルシウムオキサレート結石の形成を促す可能性。
  • その他の潜在的リスク: 鉄の過剰吸収(遺伝性ヘモクロマトーシス患者で問題)、プロオキシダント作用による酸化ストレス(in vitroで示唆)、心血管疾患(CVD)の死亡リスク増加(一部の集団で)、ビタミンB12や銅の低下、歯のエナメル質の浸食、アレルギー反応。

これらの症状は、1日2,000mgを超える長期摂取で顕著になり、深刻なケースでは腎不全のリスクも指摘されます。ただし、健康な成人では10g/日程度まで毒性は低いとされています。

エビデンスの概要

ビタミンCの安全性に関するエビデンスは、主に疫学研究、臨床試験、in vitro研究から得られています。米国国立衛生研究所(NIH)やMayo Clinicなどの信頼できる機関がまとめています。以下に主なものを挙げます。

  • 消化器症状のエビデンス: 未吸収のビタミンCが腸内で浸透圧効果を生み、胃腸障害を引き起こすメカニズムが確立されています。Institute of Medicineの2000年報告書では、これを基に耐容上限量(UL)を設定。Mayo Clinicの専門家回答でも、2,000mg/日を超えるとこれらの症状が頻発すると指摘されています。 これらの症状は一時的ですが、頻度が高いためULの根拠となっています。
  • 腎結石リスクのエビデンス: ビタミンC補給が尿中シュウ酸を増加させることは複数の研究で確認されていますが、結石形成への影響は矛盾しています。例えば、Health Professionals Follow-Up Study(45,619人の男性、14年間追跡)では、1,000mg/日以上で結石リスクが41%上昇。一方、別の大規模コホート研究(45,251人の男性、6年間)では1,500mg/日以上でリスク増加なし。Linus Pauling Instituteのレビューでは、既存のシュウ酸尿症患者でリスクが高いと結論づけ、1g/日以上の補給を避けるよう推奨。全体として、健常者では明確な因果関係は証明されていませんが、腎臓病の人は注意が必要です。
  • 心血管疾患やその他のリスクのエビデンス: Iowa Women’s Health Study(糖尿病の閉経後女性)で、300mg/日以上の補給が心血管疾患死亡リスクを高める関連が報告されましたが、他の疫学研究では再現されず、メカニズム不明。プロオキシダント作用(酸化損傷促進)はin vitro研究(例: Lee et al., 2001)で示唆されますが、in vivoではCarr and Frei (1999)のレビューで否定。鉄過剰吸収はヘモクロマトーシス患者限定で、健常者では問題なし。 これらの多くは観察研究や試験管実験に基づくため、因果関係は限定的です。

推奨摂取量と上限

  • 推奨摂取量 (RDA): 成人男性90mg/日、女性75mg/日(妊娠中85mg、授乳中120mg)。果物(オレンジ、キウイ)や野菜(ブロッコリ、ピーマン)で十分摂取可能。
  • 耐容上限量 (UL): 成人2,000mg/日(子供は年齢により400-1,800mg)。これを超えないようサプリ使用を控え、医師相談を。

結論として、ビタミンCの過剰摂取は主に軽度の消化器症状を引き起こしますが、長期高用量は腎結石などのリスクを伴う可能性があります。エビデンスは全体的に低毒性を支持しますが、個人の健康状態に応じて摂取を調整してください。

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