この記事は20代の男性に書いていただいました。
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私が20歳にならないころ、統合失調症にかかりました。当時はまだ病名が精神分裂病から統合失調症に変わってそれほど経っていない頃でした。私は普通に暮らしているだけでなんの理由もなく叫び出しそうな恐怖感に襲われました。夜中に叫び出しそうになり、必死に耐える日々でした。
そんなある日、町の街頭についている広告板に「メンタルクリニック」の文字を見つけました。当時は自分が精神病にかかるなどと思っておらず、「貴方は健康です」と追い返されるんじゃないか、という不安もありましたが、あまりの恐怖感にそのメンタルクリニックに駆け込みました。
そこでははじめにソラナックスとリーゼという薬を処方されました。この薬は私に効かず不安感が全く減らなかったため翌日に同じクリニックに駆け込みました。そこでリスペリドンが処方されました、医師は「コレは統合失調症に使うものだけど不安にも効くから」と言って処方しました。この薬が私にとても良く効き、恐怖感だったものが不安感程度に改善しました。
しかし病気のため大学を辞めて実家に戻るのを余儀なくされました。そして実家の近くの精神科を受診するとジプレキサという薬が出されました。その頃にはなんでもいいからキツくても不安に効く薬が欲しいと医師に強く訴えたところ出たのがジプレキサでした。
とても良く効いた、そして副作用
この薬ジプレキサはとても良く効きました、不安感もほとんどなくなり、寛解と呼ばれる症状が出ない状態に近いまでに良くなりました。しかし、薬がよく効くということは副作用も大きく出るということで、不安感が収まると同時に副作用が出てきました。
はじめは不安感が無くなったので食事を安心して食べられるようになったのだと思いました。不安感の消失により食事が楽しくなったこともあるのでしょう、症状が出ている時は食事を飲み込むのも辛かったのですが、よく食べるようになりました。
しかし、私は当時どちらかといえば痩せ型だったのですが、その後も非常に食欲が増え続け、あっという間に標準体重を超えました。医師にもそのことを訴えたのですが「別の薬にしてもいいけど、また不安感が出るかもしれないよ」と言われ、あの不安や恐怖に耐えられないのでその後もジプレキサの服用を続けました。
最終的に私の体重が一番重かった時期で身長が約170cmで体重90キロを超えていました。流石に医師もコレだけ過食を続けると糖尿病の危険もあるということでジプレキサが処方から外れました。
現在に至るまではリスペリドンに変更され服用を続けています。薬を変更したところ異常な食欲はなくなりました。また、体重の増加に比べると危険性は軽いものの、喉が渇く副作用も出て、飲む水分の量が増えました。医師によるとジュース等でなくただの水であっても飲み過ぎはよくないと言われました。
量としては一日に6リットル以上が危険域だと言われ、8リットルで体調に深刻な影響が出るそうです。私は当時2リットルのペットボトル数本を飲んでいたので多少体に影響が出る量を飲んでいたようです。普通の水とはいえ、この量はあまりいいものではなかったようです。
メリットとデメリット
私にはジプレキサが他の薬よりよく効いたことは確かです。ただし、食欲を抑える強固な意志がないと体重増加はありえます。もちろん飲んでいる人全員に起きるわけではありませんが比較的太りやすくなる薬です。
しかし、私はジプレキサを飲んだことを後悔しているわけではありません。副作用があっても一番つらい時期を助けてくれた薬です。よほど太らない限り糖尿病等の健康に影響が出ることは少ないです。むしろ飲まないことによる統合失調症の症状の方が遥かに辛いでしょう。
ジプレキサを飲むべきか
用法容量を守って飲みましょう。統合失調症の症状に比べれば多少の体重増加は大した問題ではありません。まだ症状が激しい時期であれば通院も頻繁でしょうから食欲増加があれば次の通院で医師に相談しましょう。喉の乾きも相談すれば答えてもらえることが多いです。
現在ではジプレキサに匹敵する効果をあげる薬もあるようですが、未だに多く使われているのはその効果の高さからでしょう。クロザピンと呼ばれるジプレキサの構造をちょっと変えた薬もあるのですが、こちらはそれまで効かなかった人にも効く可能性がある代わりに副作用が起きやすく、非常の危険な副作用のため厳しく管理されている入院患者にしか使うことはありません。
ジプレキサは安全性が高く効果の出やすい薬です。体重は戻りますが、統合失調症の影響で取り返しがつかないことになるよりは体重の変化のほうがいいでしょう。ジプレキサは統合失調症によく効くいい薬です。統合失調症の症状は苦しいものです、それが良くなるのなるのは体重の増加よりもずっといいことです。
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