この記事は「乳ガン治療の方針のことで医師と喧嘩に。切るか切らないか」の続きです。
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ネットで調べると、切らずに治すガンについては「肺がん」「肝臓がん」が主にありました。当時、乳がんについては切らずに治す方法が無いわけではありませんが、研究中であることや国内にも数人くらいしか体験者がいませんでした。
切らずに乳がん治療をしたいと思い、希望した治療法はラジオ波による熱療法、放射線によるピンポイント療法です。
ラジオ波治療は、がん細胞に針を刺しラジオの周波数に近い高周波電流を流して、その熱でガンを焼くという治療法で肝臓がんに用いられます。
あるじゃないか…。やればできるじゃないの。そう思い、最初に検査をした病院とは縁を切ることにしました。
しかし、私の考えも浅はかでした
ガン治療は本来厚生省から認可された方法以外は使えないというルールに縛られた病院ばかりなのです。そんなことも知らずにいた自分が情けなくなります。いろいろな病院で放射線やラジオ波治療を打診しましたが、門前払いをくらうばかりです。
切るしかないのかと落ち込んでいた時に、肺がんを放射線ピンポイント療法で好結果を出している病院の記事が新聞にありました。さっそくその病院に行って、放射線科の診察を受けることにしました。
たまたま放射線科の偉い方の外来の日であったことが幸運の分かれ目でした。医師に「切らずに治す治療がしたい」と懇願しました。厚生省のルールがあることも知っていますと伝えました。なんなら一筆書いてもいいとまで言いました。
医師は笑ってこう答えてくれました。
「医療法律によるルールはありますが、患者がどうしてもというのであればできないこともないですよ」
その言葉を聞いた時に涙が出てきました。医師は続いてこうも言いました。
「今あるガンは完全消滅する自信はあります。しかし、その後どうなるのかは責任がとれません。この病院でも放射線による乳がん治療をしたことがありません。おそらく県内でも、私が知る限り体験者がいないはずです。その後の予後データがないのです」
その後の事とは転移の問題が一番大きいのです。現在私の検査結果ではリンパ節転移の検査をしていないので転移の問題が残ってしまうということです。
「ならセンチネルリンパ節の検査(転移の有無を調べる検査)をしてください」と言いましたが、それなら手術をするのと同じことですと言われました。普通は術中にセンチネルリンパ生検を行うのです。検査のためメスを入れるなら手術も同じことと言う意見でした。
他に方法はないかと言いましたら、ペットCTを受けましょうと言われました。ただちにペットCTの予約を取り、後日検査してもらったところ、おそらく転移はないだろうと言われました。医師からピンポイント放射線療法のGOサインが出ました。
「何度も言いますが、ガンは切ってみないとどんな状態かわかりません。ガンステージも小さいから初期とは限りません。放射線治療の後、手術の場合との違いを比べるデータがないのでどうなるかわかりません。本当に覚悟はできていますか?」
そう聞かれたことを覚えています。
「手術もしても転移する人は転移するんですよね。私には同じことにしか思えません。その後どうなるかは自己責任で結構です。自分の意思ですから」
そう答えた記憶がハッキリとあります。
そうして乳がんのピンポイント放射線療法のスケジュールが決まりました。放射線治療器の寝台ベッドの上に上半身裸で乗せられて、放射線技師3人の男性が左右から私の乳房に油性のマジックで落書きを始めました。くすぐったいし、何なのだろうか?これは…。恥ずかしい思いをしながらされるままの落書きは大切な意味を持っていました。
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