この記事は30代の女性に書いていただきました。
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生後間もない頃から現在に至るまで。かれこれ30数年もの間、喘息と付き合っています。子どもの頃は、発作が起きるたびに母に連れられ、近所の救急病院で処置をしてもらっていました。
私が小学5年生になった年の秋、学校の集団宿泊学習に参加することになり、初めて自分で「吸入薬」を管理することになりました。その薬が「メプチン」です。初めて自分で薬を管理するということで不安が大きかったのですが、その後、その不安が的中し危うく命を失いかけたのです。
宿泊学習で副作用
宿泊学習の2週間前よりメプチンエアーを使用し始めました。喘息の患者さんにとっては「あるある!」な話ですが、喘息の発作が起こる時は、ある程度の前触れがあります。胸の辺りがザワザワして、呼吸がしづらくなったり、息をするたびに喉の奥からヒューヒューと細い音が聞こえるようになったり。それらの前触れがあった時点で適切な対応をすることができれば、大発作までには至らずに済むこともあります。
私が処方されたメプチンエアーは、それこそ、そのような状態で使用すれば大発作を食い止めてくれる頼もしい相棒であると一般的に理解されている存在です。大発作の前触れは1日に何度もあります。その都度、担任や保健の先生、両親に報告し、メプチンエアーを使用するのですが、初めの頃はとても良く効きました。
ですが、何度か使用するうちに、心臓がドキドキしたり、手が震えるといった副作用が出現し始めました。勿論、主治医にも副作用のことは報告しましたが、それらはメジャーな副作用だということもあり、それほど気には留めずに宿泊学習の日を迎えました。
宿泊学習1日目の夜のことでした。例によって発作の前触れを感じたので、担任の先生に報告し、メプチンエアーを使用しました。やはりいつものように心臓がドキドキし、手が震えます。しかし、その時の副作用はそれでは治まりませんでした。気が付いたら病院のベッドの中に寝ていました。丸2日意識がなかったようで、目を覚ました私を確認すると、母と祖父母が泣きながら大騒ぎしていました。
主治医によると、宿泊学習の夜、メプチンエアーを使用した私は体全体が痙攣し、意識をなくして病院に運ばれたのだそうです。アナフィラキシーショックという、命に関わる大変な副作用を起こしたのだと説明を受けました。
当時は難しいことは何だかよく分かりませんでしたが、今後メプチンを使用してはいけない!ということだけは理解でき、その後は主治医の強い勧めで、常に名前・連絡先・喘息の患者であること・メプチンは使用不可であるということが書かれたカードを携帯するようになりました。
現在も私は喘息患者のままで、つい最近もうっかり「カード」を携帯していなかったばかりに、搬送先の夜間病院でメプチンのネブライザーを使用してしまい、アナフィラキシーとまではいきませんでしたが、痙攣をおこすなど大きな副作用が出現し、病院に迷惑をかけてしまいました。今でこそ薬の種類も多くなり、選択肢も増えてきましたが、20~30年前と変わらずメプチンは現在も第一線で使われています。
肝心な副作用を起こした際の部分が、後から聞いた話となり、リアルさに欠けているかと思いますが、何十年も前から現在まで第一選択薬として使用されている薬でも、重篤な副作用が起こらないとも限らないのだということの参考にしていただければ幸いです。
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