この記事は30代の看護師の女性に書いていただきました。
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① 妊娠中の私
妊娠が分かったのもつかの間、初期の早い時期からつわりがひどく、毎日吐き気や嘔吐に悩まされ、気持ちも落ち込んでいた私(つわりが重症化すると嘔吐などの症状が出ます)。
もう口に食べ物や飲み物を入れることもできず、それでも吐く状態が続いたので病院に行きました。尿検査の結果、「ケトン体4+」という結果に(脱水の症状が強ければ強いほど、血液成分濃度が濃くなり、ケトン体はプラスと出る)。受診した時には、結構な脱水状態になっていました。
② 脱水状態の私、点滴2本を受けることになる
点滴の本体は2本あり、1本は水分補給、もう1本の本体に吐き気や嘔吐、食欲不振などに効果があるプリンペランという薬が注入されていました。その薬は、妊婦でも使って良いものであるとお医者様より説明を受けていました。
また、看護師である私自身も、お医者様の指示で患者様に点滴したり、注射したり、また内服で処方されるのを日々見てきました。
③ 点滴開始から数分すると体に異変が起こる
点滴開始から数分経つと、私はなんだか落ち着かなくなり、足を伸ばしたり、曲げてみたり、それでもなんだか落ち着かず、起きてみたり、寝てみたり、横向きになってみたり、仰向けになってみたり・・・。自分の体がそわそわするのです。でも、それがなぜなのかはその時点では分からなかったのです。
点滴開始から数十分、看護師さんが見に来てくれ、吐き気はどうですか?と聞かれ、「吐き気はだいぶいいけど、なんだか落ち着かない、黙っていられない」と訴えましたが、何だろうねとは言ったものの様子を見ることに。点滴終了しても、まだ少し落ち着かない。
結局その日はその症状の原因は分からなかったのですが、私は夜になっても「赤ちゃんに影響ないだろうか」と思っていました。
④ 次の日は特に異変なし
翌日も吐き気はないものの脱水状態が改善されず点滴。この日は吐き気がないので、水分を補給するタイプの点滴のみ2本。特に問題なく終了。
⑤ 再度プリンペランの点滴
それから数日は体調も良く点滴から解放されていましたが、つわりはそんなに甘いものではなく、数日経つとまた激しい嘔吐でプリンペラン入りの点滴を受けることに。
点滴をして数分、先日と同じような「自分の体がそわそわする症状」が起こったのです。ようやくプリンペランの副作用なのではと思ったのです。すぐにナースコールして、そのことを伝え、プリンペラン入りの点滴を中止。
それでも数十分その症状は続きましたが、前回は、点滴終了しても残っていたこの症状、点滴を中止して数分で改善されたのです。
⑥ プリンペランの副作用だった
お医者様もプリンペランの副作用だろうねとは言ったものの、こんな副作用を訴えた患者さんは、私が初めてだと話されました。
この薬の副作用の1つに「錐体外路症状」(手指の震え・体のこわばりやつっぱり・動作が鈍いなど)というものがあり、「落ち着かない、そわそわする」はこの症状に分類されるのではないかという結果になりました。
その日から、私はプリンペラン禁止になりました。こんな副作用が起こるとは・・・看護師経験のある私でも不安でぞっとしましたが、我が家に元気な赤ちゃんが誕生してくれたので安心しました。
⑦ 私が以前担当していた患者様もこの副作用だったのかも?
20年くらい前に私が病棟で担当していた肝硬変の患者様は吐き気がある為にプリンペランが注入された点滴を毎日していました。
その患者様は若干認知症状がありましたが、普段はベッドに座って静かに過すのですが、点滴が始まって数十分くらいすると毎回ベッドの柵を乗り越えて落ち着かなくなるのです。
柵を乗り越える反動で、点滴の針が抜けてしまったりと、本当に大変で、正直に言うと「本当にもう静かにしていて」という感じでしたが、実際に私がプリンペランで副作用を経験してからは、もしかしてあの患者様も私と同じ副作用だったのではないかと今では思っています。
もしその時に、副作用と疑うことができれば、お医者様に報告し、別の薬に変えてもらったりと、何かしら対処することができたかもしれません。
⑧ 最後に
どんな薬でも必ず副作用の危険はあります。比較的安全と言われている薬でもそうです。はっきりと訴えることができない子供やお年寄りには、ぜひ周りの方が注意して観察してあげてほしいと思います。
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