食事から糖質を摂ると血中にブドウ糖が増えますが、細胞はインスリンの力を借りて、糖を取り込み、それをエネルギーとして使います。つまり、血糖値が高すぎると人体に悪影響があるので、インスリンが細胞に糖を吸収させようと、どうにかして血糖値を下げようとしている訳です。
この仕組みは癌細胞とて同じですが、通常の細胞と違うのは取りこむ量です。
癌細胞は自らを増殖させるためにたくさんのエネルギーを使うため、通常の細胞と比べて数倍ブドウ糖を取り込む力が強いのです(癌細胞の表面にブドウ糖輸送体と言うタンパク質があり、これがブドウ糖を取り込みます)。
ですので、血中にブドウ糖が多くなり過ぎると癌が増殖して、転移しやすくなります。
もうひとつ、癌を増やす要素があるのですが、それはインスリンそのものです。
インスリンは先ほどお伝えしたように血中にブドウ糖が増えた時(血糖値が上がった時)に細胞にその糖を取りこませる作用を持つのですが、同時に癌細胞を増殖させる働きもあるのです。
では、普通の日本人はこの血糖値を上げる原因である糖質を1日にどれくらい摂っているのか(血糖値を上げるのは糖質だけ)。答えは300g前後です。こんなに大量の糖質を摂れば血糖値も急激に上がりますので、それだけインスリンの分泌も多くならざるを得ません。食事をするたびに癌になるリスクが増えることになります。
逆に言うとブドウ糖を断てば癌細胞の増殖が止まることになりますので、癌になりたくない人は食事の中で摂る糖質の量を減らすしかありません。
実際に糖質制限食で癌を治す治療をしている病院もあります。
この病院ではどれくらいの糖質を患者に食べさせているのか。
まずは一般の食事と糖質制限食ではどれくらい糖質の量が違うのかを比べてみましょう。
[一般の食事]
糖質60% 脂質25% タンパク質15%
=>炭水化物である米やパンが中心の食事
[糖質制限食]
糖質15% 脂質55% タンパク質30%
=>肉や魚が中心の食事
一般の食事で摂る糖質は270gから300gほどあり、一番厳しい糖質制限食の場合には60g以下です(緩い糖質制限食は最大140g)。
糖質制限食は一般の食事よりも糖質の量が4倍以下ですので、それだけインスリンの分泌も少なくて済みますし、癌のエネルギー源も少なくなります。
ここまで説明しても糖質制限食に踏み切れない人も多いのです。
なぜなら、「糖質制限食は脂質の割合が高いので、癌になりやすいのではないか」と思っているからです。
しかし、脂質が悪いのではなく、「糖質と一緒に脂質を摂りすぎること」が問題なのです。
糖質を摂りすぎなければ脂質を摂りすぎても癌を促進しないことは多くの動物実験で確認されています。
私は緩い糖質制限を実践しているのですが、
〇朝は鶏を中心とした肉と野菜
〇昼は食べない
〇夜は白米を小茶碗1杯(少し山盛り)と魚(もしくは肉)と野菜
を食べています。
きちんと糖質を計算したわけではないですが、糖質の量は100g以下です。
白米の糖質は100g当たり約37gですが、これは小茶碗1杯に相当します。その他の糖質としては野菜で1食5g(朝夜で10g)、肉と魚の糖質で数g、調味料の糖質で数gですので、合計で100gくらいには収まっているはずです。私はこれを長い期間続けています。
「糖質制限は危険」「糖質を制限をすると筋肉が落ちる」という根拠がないことを言っている医師がいますが、これは嘘です。私はお腹が4つに割れています(笑)また、私は40代ですが、基礎代謝が1600くらいあり、これは10代の平均と同じくらいです。ですので、糖質制限を自信を持ってお勧めできます。
[参考記事]
「糖質制限は本当にダイエット効果があるの?」
[補足]
PET(陽電子放射断層撮影法)と呼ばれる癌を見つけるための検査があるのですが、これは癌細胞が通常細胞より多くブドウ糖を取りこむ性質を利用しています。
検査の前のブドウ糖液を注射に、このブドウ糖の液が癌細胞に集まったところで撮影します。
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