美容整形でシワを目立たなくしたり、鼻を高くしたりといった施術をする場合にその個所にフィラーを入れるケースがあります。
フィラーは充填剤という意味ですが、例えばヒアルロン酸、コラーゲン、レディエッセなどの製剤を指します(フィラーは世界に100種類以上あるとされて、中には日本で未認可の薬剤もあります)。
ヒアルロン酸、コラーゲン、レディエッセも効果はほぼ同じで、シワを目立たなくしたり、鼻を高くしたい時に使いますが、レディエッセはヒアルロン酸と比べると持続期間が長いので、レディエッセを希望する患者さんが多いそうです(今ではヒアルロン酸でも効果が長く保てるタイプもあり、ヒアルロン酸を使うケースが増えています)。
フィラーの充填は皮膚を切開するのと違って、手軽に注射で充填できるので、施術を受ける側もあまり深くは考えないようです。
しかし、手軽に受けた代償は大きく、中には失明や皮膚の壊死など取り返しのつかない症例も後を絶たないのが事実です。
例えば「形成外科 2015年 09 月号 [雑誌]」に載っている症例をあげると
〇フィラー注入療法により失明に至った1例
〇ハイドロキシアパタイトジェルフィラー注入後の動脈塞栓により視力低下・皮膚壊死を来たした1例
〇ハイドロキシアパタイト注入剤による血管塞栓が疑われた1例
〇非吸収性フィラー注入後の異物肉芽腫治療に難渋している1例
〇非吸収性フィラーにより前額部に異物型肉芽腫を生じた1例
〇ポリアクリルアミドハイドロジェル(アクアミド(R))注入後に難治性の感染を認めた1例
〇ポリアクリルアミドによる顔面注入異物後遺症の1例
〇ヒアルロン酸注入による鼻翼壊死の1例
失明と壊死も共にフィラーが動脈(心臓から各所に運ばれていく血管)に入ったことにより、血液の流れが悪くなり、栄養成分が必要なだけ届かなくなったことが原因です。
壊死とはどのような状態を言うのか。
壊死とは血流の減少などで細胞が死んでしまう事で、さらに進行してしまうとその患部が腐敗し、壊疽します(参考記事「痛風.com」)。
壊死(えし)は体の一部分を構成する細胞が死滅してしまうことです。
何かの菌に感染したり、火傷や凍傷などの物理的な衝撃、血流の減少などによって起こります。壊疽(えそ)は、組織が黒色や緑色に変色して悪臭を発する組織の腐敗です。
壊疽は壊死した組織が腐敗菌に感染することで起こります(壊死の合併症)。
「形成外科 2015年 09 月号 [雑誌]」に載っている失明や壊死の患者さんに使われたフィラーはレディエッセです。
美容外科クリニックではレディエッセを使っているところが多いですので、もしこれを充填しようと提案されたら拒否した方がいいです。
「形成外科 2015年 09 月号 [雑誌]」に載っている事例ではヒアルロン酸でも「鼻翼壊死」のケースがありますので、医師の技術が一番重要です。
1年くらいの持続期間しかない施術にここまでリスクを背負って行なうべきなのかをよく考えた方がいいです。
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