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向精神薬の副作用により言語障害と嚥下障害

この記事は50代の女性に書いていただきました。

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身近に精神疾患の患者さんがいらっしゃる方ならご存知かと思いますが、精神障害者、とりわけ向精神薬(なかでも特に抗精神薬=統合失調症の治療薬)服用中の統合失調症の患者との会話は、ご本人と意志の疎通を図るのに本当に苦労します。

妄想や幻聴といった統合失調症の(陽性)症状によって、話の脈略が変になるのですが、それが健康な方にとっては意味不明に聞こえるのです。

それ以上に問題なのは、向精神薬を服用すると程度の差はあれ薬の副作用によって口や顎の筋肉がおかしくなり、そのせいでうまく話せなるという部分だろうと思います。

服薬の期間が長期間に亘れば亘るほど、その影響は強く表出します。重症の患者さんになれば、医療スタッフですら本人が何を訴えているのか正確には聞き取れず、それが投薬ミスなどの事故に繋がりかねないという危険性も皆無だとはいえません。

これまでに統合失調症の患者さんと触れたことがない健常者にとっては「うまく喋れない」患者の様子が、非常に奇異に映るのも正直なところです。この点が統合失調症患者への差別を助長させ、社会参加を阻む遠因にも繋がっているだろうと自身も精神科入院歴を有する私は考えています。

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会話すら満足にできない状態であれば就労も難しい

「普通に喋れない」ということは患者さんの就労への途をも大きく阻んでいます。当たり前の会話ができないことは、例えば仕事上必要な接客や電話応対も難しいということを意味します。それが精神障害者の職業選択への選択肢にどれだけ影響するか、説明するまでもないでしょう。

一般就労と作業所などの福祉的就労の中間施設として、精神障害者福祉保健法に基づき1995年「精神障害者福祉工場」が全国に設置されました。

現在、精神障害者の就労の内容として一番多いのはクリーニングです。クリーニングのような軽作業であれば「喋る、話す」といったスキルをさほど必要としないと考えられがちなことから、コミュニケーション自体が苦手で、且つ(薬の副作用によって)流暢に喋ることが困難な精神障害者向けの求人もまた、クリーニング業主体となりがちです。

ただ、向精神薬によって非常に疲れやすくなる副作用の影響もあってか、長時間の立ち仕事に馴染まない方も多く、暑くて湿度の高い場所でのクリーニング作業が、結果的には患者さんの離職率を高くする結果に繋がっています。

もともと疲れやすい患者さんにとっては「軽作業」も決して軽い作業だとはいえません。だからといって、うまく喋ることもできずコミュニケーション能力も著しく低いとなれば、コンビニのレジや飲食店のアルバイトですら、本当に高いハードルです。

喋れなくなる症状の原因となる錐体外路症状とは

うまく喋れなくなる原因となる、口の周りの動きが悪くなるなどの症状を総称して「錐体外路症状」といいます。このなかでも、口の周囲の筋肉がおかしくなる症状をジストニアと呼びます。

私はこの錐体外路症状によるパーキンソンニズムによって、二十一歳の頃から歩行困難となり、現在は車椅子での日常を余儀なくされています。私の所持する身体障害者手帳の診断書には「疾病(薬物性パーキンソンニズム)による体幹機能障害」と明記されています。

つまり、この錐体外路症状というのは薬物性のパーキンソンニズム、いうなれば精神疾患を治療する薬物によって(人為的に)生じた「パーキンソン病」だと捉えてもいいかと思われます。

診断書には歩行が困難だという現状だけではなく「構音障害」とも記載されています。「構音障害」とは呂律が回らないことを指します。私自身歩けなくなっただけではなく、薬の副作用によって呂律が回らなくなってしまいました。

また、錐体外路症状には以下のようなものも見られます。

•振戦(ふるえ)

•手足が動かしずらい

•からだのバランスがとりにくい

•ジストニア(筋肉が固まったり、けいれんしたりする)

•ジスキネジア(手足や口、舌などが勝手に動いてしまう)

•アカシジア(足がむずむずしてじっとしていられなくなる)

嚥下障害から事故に繋がる場合も

先にも挙げた通り、口の周りの筋肉に異常を生じる症状は「ジストニア」です。余り知られてはいないことですが「ジストニア」によって口の周りの筋肉に異常を生じてしまうと、喋ることがうまくできなくなるだけではなく、嚥下にも障害を起こします。

私は現在東京都下で一人暮らしをしていますが、自分の食事を作る場合には必ず片栗粉でとろみをつける必要があります。そうでないとうまく飲み込めず、重大事故に繋がりかねないからです。私は一人暮らしということもあり、特にその点は注意しています。

誰かと一緒の時にはパンや麺類を食べる場合もありますが、そのような場でも嚥下に障害を有する私は注意を要します。

数ヶ月前の話ですが、知人と一緒にカレーうどんを食べていた私は、うどんの麺がうまく飲み込めずに喉に詰まらせて倒れ、あわや大きな事故に繋がるところでした。

そこまでいかないとしても麺がうまく飲み込めずに鼻の穴から出てしまうことは頻繁にあります。見た目はまるで漫画の一コマの光景のようですが、当事者である私は本当に苦しく、まさしく死にそうな思いです。

また、これまでに私が入院した精神科病院の多くはパン食を中止していました。入院患者がパンを喉に詰まらせる事故が続出するからです。パンを喉に詰まらせた結果、患者さんが亡くなったケースも過去にあったと栄養士に聞いたこともありました。

薬物による治療よりもむしろ減薬で錐体外路症状の緩和を目指そう

錐体外路症状を緩和するために、精神科医の指示監督のもと抗パーキンソン剤を服用する場合もあります。私の場合は「アキネトン」という薬を服用していました。

ただ、アキネトンで向精神薬の副作用を抑えようとしても自ずと限界がありました。私は多い時で一日14錠のアキネトンを服用していました。アキネトンも服用していれば私は副作用としての吐き気に悩まされましたが、吐き気止めとして処方されるプリンペランという薬にまた錐体外路症状の副作用があるということが後で分かりました。

私は症状が強く出るたびに追加で処方増薬を繰り返し、どんどん多剤処方となりました。結果、薬の副作用も強く出て、歩けなくなってさらには喋れない、物もうまく飲み込めない…という最悪の状況に至ってしまいました。

向精神薬の副作用の結果、人生が大きく変わってしまった私が今思うことは、お薬による副作用の症状を他の薬物で抑えるという治療の方針よりは、主治医とよく相談しながら、できるだけ減薬の方向で考えるべきであろうという部分です。

向精神薬は脳に直接働きかける薬であり、素人判断で突然中断すれば激しい離脱症状が生じ、最終的にはもっと多くの向精神薬で症状を抑えて…ということになってしまいます。

向精神薬に限らず、お薬には全てベネフィット(効果)もあれば、背中合わせとしてのリスク(副作用)もあります。なるべく少ないお薬で効果的な治療結果を求める、それは全ての患者さんができそうな取り組みです。

現代の日本においては医療費の増加による国家財政への負担が大きく取りざたされる問題であることは誰しもが理解しています。特に精神科での多剤処方の監視はすべきことです。

[参考記事]
「向精神薬と缶コーヒー依存の関係性。 缶コーヒーを大人買いする精神障害者」

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