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ステロイド剤の副作用で骨粗鬆症や歯が弱くなった私の体験

この記事は50代の女性に書いていただきました。

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 子どもの頃から五十歳の現在までアトピー性皮膚炎に悩まされている私は、このサイトで以下の過去記事を拝読しました。

「アトピー治療によるステロイドの副作用を食事で治した女性」

 幸か不幸か、私自身はこれまでステロイド軟膏による副作用というのは経験した記憶がありません。もしかしたら自分でも気づかないうちに副作用の症状はあったかも知れませんが…。ですが、後述するように内服薬のステロイドの副作用は骨粗鬆症と歯に現れています。

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アトピーでも皮膚科から足が遠のいている理由

 発達障害の正式診断を受けていて、幼少時から自閉的傾向が色濃い私は、子どもの時から病院の待合室がとにかく大嫌いでした。成人した今ではそこまでいかないにせよ、私は患者さんがすし詰めになっている皮膚科の待合室で頻繁にパニックに陥りました。

 現在でも待合室にいると気分が悪くなるので、皮膚科のクリニックの玄関の外で自分の診察の順番が回ってくるまで平均二~三時間は待つのです。夏の暑い時期や今のような厳寒の季節、長すぎる待ち時間がイヤな私は、つい皮膚科への足が遠のいてしまいがちです。

 皮膚科の医師もきちんと症状の説明はしてくれてはいます。しかしながら顔のアトピー用の軟膏、身体のアトピー用の軟膏。さらには子宮頸がんの広汎子宮摘出術を受けたのち、失禁が始まって使い始めた専用パッドによるおむつかぶれ用にまた別のステロイド軟膏…。

 ステロイド軟膏だけでも三種類処方され、どの薬はどこに塗るんだという薬の説明のほうが症状に対する説明より遥かに詳しく説明をします。それに保湿剤を二種類処方され、私は薬局で合計五種類の薬を受け取って帰宅していました。

 ところが、薬剤師にもらった説明書を読んで、処方された保湿剤のうちの一種類が実はドラッグストアで普通に売られているワセリンとほぼ変わらないことに気がつきました。

私なりのアトピーとの向き合い方、付き合い方

 体質やアトピーの症状にもよるのでしょうが、私の場合、保湿という意味では市販のワセリンで充分事足り、アトピーで湿疹が生じている部分についても、ワセリンを丁寧に塗って木綿の肌着で保護し、無意識のうちに掻き毟ってしまわないよう就寝時には手袋をはめる習慣を繰り返しています。そうしたら完治とまではいかないにせよ、痒くて我慢できないほどの症状はかなり改善することが分かりました。

 また、冒頭の体験談記事に出てこられる方ほどは徹底していないにせよ、私も食事は全て手作りにし、これまでアレルギーを起こした食材については、摂取に気を付けたり、調理法を工夫しています。外出の時にも極力手作りのお弁当を持参するように心がけています。

 食物アレルギーもアトピーと並行して子どもの時から私を苦しめては来ましたが、もう私も五十歳ですし、病気やトラブルを生じやすい自分の身体とうまく付き合えたらなと思っています。

 普段はキロ買いしたワセリンが、私にとってアトピーの治療薬にも保湿剤にもメイクの際の化粧下地代わりにもなってくれています。

 ワセリンは塗った直後は油分によるテカりが生じて、メイクがよく乗らない点だけは難だともいえますが、例えば朝であれば起床直後に洗顔してワセリンで保湿し、出かける直前にポイントメイクを施すということであれば何も問題ない感じです。ワセリン自体非常に安価で本当に重宝しています。

 皮膚科クリニックの玄関の外で長い時間パニックを起こしそうな不安とともに、ステロイド軟膏の処方を施されるための診察待ちをすることもないよね。そう思った私は、以来余程のことがない限り皮膚科に出向いたりしません。肌トラブルが顕著に出るので、花粉症の時期だけは専門医の診察を受けに皮膚科を受診するくらいでしょうか。

私が受けたステロイド剤治療

 軟膏を使用する限りは、これといった効果も感じない代わりに、副作用も生じなかったステロイド剤ですが、これが一転、内服となるとステロイド剤の重篤な副作用に苦しむこととなりました。

 三十九歳の時に受けた健康診断で、私は骨密度が十八歳並みの高さだという診断結果を受けました。骨だけではなく、それまで私は一度も歯科医のお世話になったことがありませんでした。もともと歯が強く、子どもの時から一度も虫歯になったことがない私は「いい歯のコンクール」の全国大会で数回入賞を果たすほどでした。

 当時私が住んでいた自治体では、四十歳になる直前の女性だけを対象にした健康診断を実施し、生活習慣病や女性特有の病気の予防対策の一環としていました。三十九歳の私は骨の丈夫さも歯の健康も、まさに折り紙付きだったというわけです。

 そんな私が、二年後の四十一歳の時、更年期障害を疑って受診した都立病院で、自己免疫疾患という診断を受けました。数ある膠原病の中でも、一番重症度の高い全身性エリテマトーデスの疑いだとされた私は、全身状態の検査も兼ねてそのまま総合病院の膠原病科に入院。一定期間ステロイド剤を集中的に点滴投与する「ステロイドパルス療法」を受けました。

症状が多少軽快して退院したのちも脳梗塞

 私は勤めていた会社に復職もできず、長い期間に亘ってステロイド剤を内服しなければ、自力でベッドから起き上がることもままならない身体になりました。

 追い打ちを掛けるように、私は子宮頸がんと若年性脳梗塞とを立て続けに発症。人間関係上でも自身の病気が遠因で、二十年間の結婚生活にピリオドを打ちました。私にとって四十代は辛い時代となりました。

 脳梗塞を起こした後、私は全く自力での歩行ができなくなりました。四十五歳の冬、私は寝ていた自宅のベッドから車椅子に自力で移乗しようとして誤って転倒。

 激痛の余り救急搬送された病院でレントゲンを撮ったところ、私は腰部5番目の骨を圧迫骨折していました。ステロイドを多用すると骨粗鬆症になりやすいことはよく知られていることです。

ステロイド薬は強力に炎症をおさえる作用があり、膠原病や関節リウマチの治療に広く使用されています。しかし、ステロイドを服用すると骨が弱くなることをご存知でしょうか?

ステロイド薬は骨を作る細胞の働きを弱め、骨を吸収する細胞の働きを強めて骨を弱くします。また、腸や腎臓でのカルシウムの吸収を低下させます。ステロイド薬は骨の量と質の両方を低下させます。

使用するステロイドの量が多いほど骨折の危険性は高くなり、特に背骨の骨折はその影響が顕著です。たとえ服用しているステロイドの量が少なくても、3か月以上使用する場合はステロイド性骨粗鬆症に対する対策が必要です。

膠原病リウマチ痛風センターより引用

ステロイド剤の影響は骨だけでない!歯までボロボロ

 歯医者とも無縁だった私ですが、四十三歳の時に生まれて初めて歯科医院のお世話になりました。暴飲暴食や不摂生をしたわけではないにも拘らず、四十一歳から服用せざるを得なくなったステロイド剤のおかげで、私は歯までがボロボロになってしまったのです。三十二本の歯のうち三本は勝手に抜け落ちてしまいました。削った歯も数本あります。恐らく加齢とともにもっと増えてしまうでしょう。

 三十九歳の時には本当に骨も歯も、十代女性のそれと変わらない健康さを誇っていた私だったのに数年間のステロイド剤服用の結果、今春五十歳になる現在の私の身体は「八十歳のおばあさん」のそれだと医師から言われています。

それでも

 ステロイド剤服用のおかげで、難病と診断された現在でも、私は最低限働くことも自力で生活することもできています。なんだかんだいってステロイド剤は効く薬であり、ステロイドがあるからこそ実現できている今の自分の日常に私は感謝もしてはいます。

 ただ、効果の高い薬はそれだけ副作用も重篤だという点は、折につけ意識して考えないといけないとは感じています。

「プラセーボ」としての医療

 私の住んでいる自治体では、課税対象となっている障害者に対して、福祉タクシーの助成制度は適応にはならないため、自前でリフト付きタクシーを調達する必要があります。車椅子を要する私にはフィジカル的にも、そして経済的にも通院がしんどいのです。

 一方で、制度をフル活用して皮膚科にヘルパーさん同行のもと、タクシーで通院されているお年寄りや障害者もかなりの数で存在します。彼らを批判する意図ではなく、単純に話として。

 きっと私自身、福祉の各種制度の対象になっていたなら、些細な症状でも熟考もせずに、同じように頻繁に通院してしまっただろうという感じは否めません。「病院に行った」という事実はかなり人間を安心させる部分が大きい気がするからです。日本人の多くはもしかしたら、この「プラセーボ効果」が薬の処方以上に欲しくて通院しているのかも知れません。

 皮膚科に通院すれば、医師のほうも相当安易な判断でステロイド軟膏を(一度に数種類も)処方しがちです。ステロイドが効き目も高い反面、副作用も怖い薬であることは私に限らず誰しもが周知の事実です。それでも…ステロイド本来の薬効以上に、私たちは「病院に言ってきちんと医師の診察を受けた」という「プラセーボ」としての効果を治療の先に求めているのでしょう。

最後に

 病院に行くと「この人たちって本当に現時点での受診が必要なのかなあ」言葉には出しませんが、そう思えてくるのも本音のところです。言うまでもなく、早めの受診の結果、重篤な病気が早期発見されて九死に一生を得た、早期の治療開始によって病気の重症化を防げたという事実も挙げれば暇がないとは思います。

 しかし、病院に行けばどんな病気でも治るんだという「神話」を信じ過ぎないこと。そのために…処方薬の副作用も含め、私たち一人ひとりが医療やその周辺について、自分自身の問題として真摯に考える姿勢こそが、今問われているのではないでしょうか。

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