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骨粗鬆症の治療薬テリボンで骨肉腫の副作用

 

この記事は30代の看護師に方に書いていただきました。

…………..

骨粗鬆症の治療薬のテリボン(商品名)注射薬は新しい骨を作るのを目的に使われる薬です。その効果を期待して1週間に一度、最大で72回病院で皮下注射を受けます。添付文書にも書いてあるように72週間以上この薬を使うことは禁止されています。これ以上使うと重大な副作用を受ける可能性があるからです。

私は看護師で外来採血室、処置室に勤務していますが、骨密度の低い骨粗鬆症の患者様のテリボン注射に対する副作用を多く見ています。

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A氏のテリボンの副作用

中でも印象に残っているのが、A氏は毎週注射の為に病院へ来ていますが、毎回元気のない顔で「もうこの注射やめようかな…先生に言おうかな…」と言われます。最初は気がつかなかったようなのですが、テリボン注射を打った後1~2時間後くらいから異常な倦怠感を覚えるようになったそうです。

一人暮らしのA氏は自炊していますが病院から帰ってから全く動けず、「ご飯も作れず食べれず、一度寝るとそのまま次の日の朝まで起き上がれない」と言っていますので、我々が想像する以上の倦怠感です。

しかし最初はそれがこのテリボン注射の副作用だとは思わずに、病院に通うことでの疲れだろうと思っていたそうです。その後もしばらく注射、倦怠感を繰り返していたある日、この注射の効果もあまり自身では分からないし、と一ヶ月ほど病院に来るのをやめて注射しなかった時期がありました。

しかし、その期間に両膝の痛みが増悪して歩くのが困難になるほど悪化してしまい、A氏はやっぱりあの注射をしなかったのがいけなかったのかと思うようになり、また病院へ通い、テリボン注射を打つことになりました(膝が悪化したのは薬を打たなかったからではなく、元々の症状に戻ったというのが正しいです)。

その時に言っていたのは
「考えてみればこの注射を中断していた一ヶ月、あの異常な倦怠感はそういえばなかったなあ」

そしてテリボン注射を再開してから初めて医師に
「実はこの注射を打った日、異常な倦怠感で次の日の朝まで起き上がれないんです」
と口にされました。

そこで注射開始当初から副作用が起こっていたのだろうという見解になりました。A氏は悩みながらも中断していた一ヶ月で両膝の痛みが増悪した苦い経験もされている為、主治医と相談の上、様子を見ながらテリボン注射は継続していく方向になりました。

添付文書を見るとテリボンの副作用率は43.8%と高く、A氏の副作用である倦怠感も6.2%の人に見られています。

第Ⅲ相骨折試験における安全性評価対象290例中127例(43.8%)に副作用が認められた。
その主なものは、悪心54例
(18.6%)、嘔吐25例(8.6%)、
頭痛22例(7.6%)、倦怠感18
例(6.2%)、腹部不快感12例(4.1%)、
めまい12例(4.1%)
等であった。(承認時)

テリボンの添付文書より引用

B子さんのテリボンの副作用

B子さんも重度の骨粗鬆症によりテリボン注射をしていました。毎週通院され、いつも見る患者様だったのですが、時折ポツンポツンと休まれる様になってきました。時々来られる際は、待合室で待っている時の顔が元気のない表情だなあと思い、B子さんに尋ねてみました。

そうすると、B子さんから
「なんかこの注射の後に気持ち悪くなって、吐いてしまうこともあるんです…頭もボーっとしてくるし身体もだるくなってくるし…そう思うとちょっと注射が嫌になってきてしまってね…」
と言われました。

B子さんもA氏と同じように、気が付いていなかったけれど、実は注射開始当初から副作用が起こっていた可能性がありました。テリボン注射の副作用として主に起こりうる症状と理由をお話ししました(B子さんの副作用である嘔吐は添付文書を見ると8.6%の人が経験しています)。

それと同時にその対処方法も少なからずある事もお伝えしました。まずは出来ることから始めましょうと、注射を上腕でしていたのですが確実に皮下に注射できる腹部に変更してみました。しばらく腹部の注射を続けていますがさほど症状は変わらなかった様子でした。

それに付け加えて、注射の前後に水分を摂取して頂くよう促したところ、それを遵守されながら注射を続ける今は、
「何となく気持ち悪くはなるけれど以前ほどのものではありません。頭のボーっとした感じも随分軽いものになりました」
と言っています。

ただこれらの症状がなくなったわけではないので主治医と相談しながら治療していきましょうという事になりました。

まとめ

お二方とも、長くこのテリボン注射のために通院されながらもなかなか副作用に気付けずいた症例でした。皆さん、自分の体のことなのに添付文書を読んでいる人はなかなかいません。読むと恐ろしいことがたくさん書いてありますが、例えばテリボンの場合には骨肉腫になる可能性があると書いてあります。ですので、骨肉腫の人はテリボン注射を受けることを禁止されています。

やはり、医師に全てを任せるのではなく、薬を飲む前に添付文書くらいは読みましょう。医師の中には添付文書を読んでいない人も多くいると言いますので、一般の人が読まないのも当たり前と言えば当たり前ですが。

雌雄ラットに本薬を皮下投与したがん原性試験において、投与量及び投与期間に依存して骨肉腫を含む骨腫瘍性病変の発生頻度が増加した。
なお、ラットに無発がん量(4.5
μg/kg/日)を投与した際の 1 週間当たりの曝露量(AUC)は、ヒトに臨床推奨用量(56.5μg/週)を投与した際の曝露量(AUC)の3.9~11.6倍に相当する。

テリボンの添付文書より引用

[参考記事]
「私の同級生は子宮頸がんワクチンの副作用のせいで記憶障害です」

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