Q糖質制限をするとコレステロールが上がるのでしょうか
LDLコレステロール(悪玉コレステロール)は糖質制限を始めた当初は増える人が多いようですが、数年のスパンで見ると平均値に収まるようです(コレステロールの説明はこちらの記事で)。
HDLコレステロール(善玉コレステロール)は増える傾向にあります。
HDLコレステロールが少なく、LDLコレステロールと中性脂肪が増えすぎると動脈硬化のリスクが高まりますが、糖質制限を行うと中性脂肪が減って、HDLコレステロールが増えるので心筋梗塞を引き起こすリスクは少なくなります。
HDLやLDLの単体の数値も大事なのですが、LDLコレステロールとHDLコレステロールの比率(LH比)も最近注目されています。
計算式は「LDLコレステロール÷HDLコレステロール」ですが、これが1.5以下であれば問題ないですが、2.0を超えると動脈硬化の可能性が出てきます。
糖質制限の場合はおおよそ1.5以下の正常の範囲に収まります。
糖質制限開始前
1999年2月 L123 H69 LH比:1.782002年6月糖質制限開始
糖質制限開始後
2004年8月 L97 H99 LH比:0.98
2007年12月 L138 H101 LH比:1.37
2008年4月 L109 H104 LH比:1.05
2010年1月 L123 H124 LH比:0.99
2012年12月 L122 H116 LH比:1.05
2013年11月 L128 H106 LH比:1.21
2014年3月 L129 H107 LH比:1.20
2014年9月 L147 H102 LH比:1.44
2015年3月 L111 H114 LH比:0.97
2015年6月 L153 H87 LH比:1.75「ドクター江部の糖尿病徒然日記 」より拝借
Q糖質制限をすると筋肉は減るでしょうか
糖質制限をしても、筋肉は減りません。
糖質制限は糖新生の体内システムを使うので、筋肉が減るといっている医師もいますが、これは誤解です。
糖新生は食べ物からのブドウ糖の供給が追い付かない場合(糖質制限の場合)、体を構成するタンパク質(筋肉など)を分解してブドウ糖を生産する仕組みですが、これが筋肉が減るといっている根拠です。
しかし、体内ではタンパク質の分解と合成が日常的に行われており(「代謝回転」と呼ばれている)、糖質を摂っても摂らなくても筋肉などのタンパク質は分解と合成を繰り返しています(つまり、代謝回転の一部が糖新生という訳です)。
しかも、糖新生は糖質制限を行っていない人でも食事をしてから数時間後には行なわれるので、日常的なシステムと言えます。
また、糖質制限食は肉や魚などのタンパク質をたくさん摂り、それが筋肉の材料に使われるので、筋肉が減るという心配はしなくてもいいです。
[参考記事]
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