健康と病気事典

痛み止めの漢方薬の副作用で手足の脱力。一人で歩けず

 

この記事は30代の女性に書いていただきました。

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数年前から、腹痛や胃のむかつき、食欲不振がありました。
地域の開業医の内科を受診し、血液検査やエコー、内視鏡検査を行いましたが、病気は見つからず、ストレス性のものだろうと診断されました。
胃腸薬のセルベックスとガスターとプリンペラン、そして精神安定剤のデパスを処方され内服していました。
薬を飲むことである程度症状は落ち着いていました。

しかし、ある時激しい腹痛に襲われ、処方された薬を飲んでも全く効果がみられませんでした。
ちょうど日曜日で、かかっていた内科は休診日でしたが、あまりの痛みに耐えきれず嘔吐し、いつものストレス症状がひどくなったのだろうと思いました。
また、何か他の大きな病気になったのではないかという事もふと頭をよぎりました。
この痛みが治まらなければ翌日月曜の仕事に行くことができるか分からないという不安もあり、総合病院の救急外来を受診しました。

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検査入院へ

救急外来にて、現在他院の内科にかかっていてストレスと診断されて内服をしていること、今の痛みはいつもよりひどいことを担当医師に伝えました。
問診や触診のあと、すぐに血液検査とエコー検査を行ってもらいました。
しばらくして検査結果が出ましたが、悪いところは何もないということでした。

休日の救急外来は混んでおり、検査結果を待っている時間が長かったです。
昼の12時過ぎに行って、検査結果を伝えられたのは16時近くだったでしょうか。
その間も腹痛は続いており、しかも次第に酷くなっていきました。
ベッドに横にならせてもらっていましたが、痛みは収まらず、そのうち涙も出てきました。

検査結果を伝えに医師が来ましたが、あまりの痛さに真っ青になって苦しんでいる私を見て、もっとしっかり診ましょうということになり、消化器内科へ入院をすることになりました。

痛み止めに複数の薬を試す

入院してからの治療は腹痛はまずカロナールを処方され飲みましたが痛みに変わりありません。
ナースコールを鳴らし、効果がないことを伝えると、医師と相談して、次にツムラ六君子湯を渡されました。
しかしこれも効果なし。
次にボルタレン坐薬も使用しましたがこちらも同様に全く効きませんでした。
唯一、看護師が用意してくれた湯たんぽを腹部に当てているとその温かさで気がまぎれたのか少し楽になりました。

内服薬、坐薬が効かず、眠れることもできず、腹痛でナースコールを何回も鳴らすことになってしまいました。
入院最初の夜は全く眠れず、痛みを抱えたまま朝を迎えました。

翌日も新たな痛み止めを使いました。
ペンタジン注射です。
筋肉注射のため注射時に鋭い痛みがありましたが、15分ほどすると腹痛がほぼなくなって楽になったのです。
初めて、効く、と思える薬が出てきました。
そして数分後には眠ってしまっていたようです。
1時間ほど眠りました。
痛みが治まり楽になり、薬の作用もあってやっと眠れたのだと思います。

しかし、薬の効果は長くは持たず、3時間ほどするとまたじわじわと痛みが戻ってきます。

芍薬甘草湯を使う

医師が診察にきて、様子を聞いて、そこで注射以外にも効く薬がまだあるかもしれないと検討してくれ、処方してくれたのがツムラ芍薬甘草湯(漢方薬)でした。
漢方薬は六君子湯を初日に試していたし、副作用もなかったため、抵抗もなく芍薬甘草湯を内服しました。

すると、ペンタジン注射と同じくらいの15分ほどで痛みが治まったのです。
効果がありました。
その日、ペンタジン注射と芍薬甘草湯を交互に使用することで、腹痛でつらい時間が少なくなりました。
翌日、医師の診察があったときも、効果があったと伝え、併用して様子をみることになりました。

併用してみて、なんとなくですが、私には芍薬甘草湯の内服の方が合っているように感じました。
効果が現れる時間はほぼ同じですが、効果の持続時間は芍薬甘草湯の方が長かったのです。
ペンタジン注射は効果が切れるとすぐに強い痛みが出てきましたが、芍薬甘草湯はじわじわと痛みが戻ってくるように感じたのです。

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手足が震え、力が入らなくなる

芍薬甘草湯を使用し始めてから24時間ほどたった昼頃のことでしょうか。
トイレに行こうとベッドから降り立ち上がろうとした時の事です。
立つことができずバランスを崩して床にしゃがみこんでしまいました。
足に全く力が入らなかったのです。
腕に力が入ったので、なんとかベッドに這い上がりました。
ナースコールを鳴らし看護師に症状を訴え、支えてもらいながら一緒に立ってみました。
支えてもらうことで何とか立ち上がることはできましたが、やはり足に力が入らず、すぐに座ってしまいました。
それまでは、トイレに行ったり洗面をするためにひとりで普段の生活と変わらないことができていたのに、突然立てなくなったのです。
その後は、トイレのたびに看護師に移動時支えてもらい、車いすで付き添ってもらいました。

その夜のことです。
水分補給のためにペットボトルをベッドわきに置いていたのですが、睡眠薬(痛みで起きたり不眠が続かないよう睡眠薬のロヒプノールも処方されていました。)を飲もうと手を伸ばしたら手に力が入らず、ペットボトルをつかむことができなかったのです。
内服チェックのために看護師がそばいたため、手渡してもらいましたが、やはり力が入らず持つことができませんでした。
看護師に介助してもらい内服しました。

どうしたのだろうと手のひらを見ていると、小さく震えているのです。
看護師が自分の手を差し出し、強く握るよう指示されたのでやってみましたが、軽く握手をするような感覚でしか触れることができませんでした。

翌朝になると、手の震えはさらに大きくなり、足もじっとしていると小さく震えていることに気づきました。
手や指の力だけで行う動作はほとんどできなくなっていました。
芍薬甘草湯の袋を開ける、歯ブラシを持って歯を磨くなども無理です。
また、入浴日がありましたが、浴室内の移動や洗髪ができず、看護助手の手を借りました。

芍薬甘草湯の内服中止

症状を聞いて医師が来て、血液検査をしました。
カリウム値が極度に下がっているとの事で、芍薬甘草湯の内服は中止となりました。

内服を中止したことで、2日ほどで手足の震えは少しずつ減っていき、歯ブラシなど軽いものなら持てるようになっていきました。
足の力も少しずつ入るようになり、点滴用の棒にしがみつくような形で体制を取り、ゆっくりですが自力で移動できるようになりました。

退院とその後の生活

それから3日後、消化器内科であらゆる検査をしましたが、何も病気は見つかりませんでした。
ストレス性のものだろうということで精神科を受診し、処方された薬を内服したところある程度効果が見られ、日常生活に戻れそうになったため退院となりました。

退院となったものの、手足の力はまだ完全には戻っていませんでした。
退院のための荷造りはすべて家族にしてもらいました。
また、病室から駐車場までも車いすで移動し、車の乗り降りも家族の介助で行いました。
家に戻っても2日ほどは支えがなくては歩行ができず、床を這うようにして移動していました。
食事もプラスチックスプーンをいわゆる幼児の握り持ちでないければできませんでした。
洗面所には椅子を置いてもらい、座って歯磨きや洗面を行いましたが、手の力が弱く長く持っていられなかったためドライヤーは家族にやってもらいました。

その後徐々に力は戻っていき、1か月ほどで一人で日常生活を送れるようになりました。
しかし、一度弱って歩行が困難になった足は、筋肉も落ちていたようで、普通のペースで歩けるようになるまで3ヵ月ほどかかりました。

薬の副作用はこわい

漢方薬は比較的副作用が出にくいものと考えていました。
また、自分自身今までに何かの薬で副作用が出たと思ったことはなかったため、今回の体験には大変驚きました。
それからは、薬を処方されると必ず説明書の副作用欄をしっかりと読んでいます。

[参考記事]
「母と二人で受けた子宮頸がんワクチンの副反応について振り返る」

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