健康と病気事典

母はロキソニンの副作用で脳幹梗塞になりました(実例)

この記事は看護師の40代女性に書いていただきました。

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一昨年の11月、母のわき腹に湿疹ができ、皮膚科に受診しました。帯状疱疹と診断されました。

当時、私の母は77才で、元気よく趣味の絵画教室に通い、忙しく飛び回っている毎日でした。病気知らずの健康な身体だったので帯状疱疹と聞いて驚きました。疲れがたまって免疫力が落ちたのだろうといことで、帯状疱疹の薬を皮膚科の先生に処方されしばらく様子を見ることにしました。

皮膚科で当初、投与された薬は、ファムビル錠250mg6錠、メチコパール錠0.5mg3錠、レパミヒド100mg3錠、ロキソニン錠60mg3錠/1日を、それぞれ5日分処方されました。

年を取ると帯状疱疹がなかなか治らないとよく聞きます。ご多聞に漏れず、母も帯状疱疹の痛みがなかなか取れなかったそうです。

再度、皮膚科に受診したところ、ファミビル錠250mg6錠を2日分以外は、ロキソニンを含む同じ処方で7日分処方されました。

生真面目な性格の母は、先生の言われた通り、きちんと薬を飲み続けました。しかし、帯状疱疹の痛みはさらに強くなるばかり。そのころから、血圧が上がったり下がったり、低体温が続き、寒気が止まず、帯状疱疹の痛みがさらに増して眠れない日が続きました。

すがるように再度、皮膚科の先生に相談しましたが、次の処方も、ロキソニンを含む同じ処方を15日分処方されました。ロキソニンは、痛み止めの作用もありますが、解熱剤でもあります。体温が異常に下がり、震えが止まらず、痛みはいっこうに改善されないまま過ごしていました。

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緊急入院

そして、とうとう初診から18日目の朝、トイレに立った時に、足元がおぼつかなくなり、呂律がまわらなくなりました。急いで、脳神経外科にタクシーで向かいました。その結果、すぐに緊急入院となってしまいました。その時、診断されたのが、脳幹梗塞です。

今から考えると、体温調節する中枢である脳幹の部分の血管が、異常に収縮し、右脳に血液が流れにくくなったのが原因だと推測されます。

その時は、医師を含め誰もロキソニンが血管収縮の原因だとは気づかず、入院してからもロキソニンを飲み続けてしまいました。

すると、入院していたにもかかわらず、はじめは動いていた左手・左足が徐々に動かなくなってしまったのです。日がたつにつれ症状は重くなり、とうとう左半身不随となってしまいました。病状は悪くなる一方で、左半身全部の運動神経が麻痺してきている状態となりました。

母は、遠方に住んでいる私に心配をかけたくないという思いから、入院の事実を誰にも告げていませんでした。しかし、病状が日に日に悪くなっていくので、皆に知らせることにしたというのです。私が、母の入院を聞きつけ、病院に駆けつけたのは入院してから2日目でした。

脳神経外科の先生に状況を聞いたところ、左半身不随は、悪くなることはあっても、よくなる可能性は100パーセントありませんと告げられました。

その後、急いで処方されている薬をチェックしたところ、皮膚科で処方されたロキソニンを、20日間飲み続けている事実を知りました。

ロキソニンは、とても怖い薬です。痛いからと言ってむやみに使用することは副作用の危険と隣り合わせであることを知ってほしいです。特に高齢者に対しての処方は、十分に注意すべきであり、また、長期に服用すると血管が収縮し血管障害を引き起こす副作用があります。

ロキソニンの血管収縮作用の副作用のことを病院にも抗議し、ロキソニンの薬を止めさせました。

すると、どうでしょう。

次の日から、左半身の完全麻痺が、本当に少しですが回復してきました。氷が解けるように、少しずつではありますが、状態がよくなってきました。

完全に退院できるのには4カ月かかりましたが、赤ちゃんが歩けるようになる過程のように、なんとか半身不随から回復しました。

今では、障害は少し残りましたが、大好きな絵も描くことができるようになりました。そして、余談ですが、この秋に、大好きな絵で県知事賞を受賞する栄誉もいただけました。

生きていて本当に良かったです。

[参考記事]
「大腸炎の薬の副作用で発疹とむくみ。全身が赤紫色に(実例)」

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