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パキシルにより楽しさや嬉しさを感じないようになる

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この記事は30代の男性に書いていただきました。

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 大学4年生の秋、教員採用試験に合格し、次年度より晴れて小学校教員としての勤務が始まりました。学生時代の私は、何事にも積極的に取り組む明るい性格でした。勉強も運動も、何をやらせてもよくできる子、と幼い頃から言われることが多かったです。周りからの評価や期待に応えるため、真面目に努力をして学生時代を過ごしました。そのためか、常に周りの目が気になったり、相手の発言の真意を一つ一つ考えたりすることが癖になっていました。

 仕事においても、そのせいでストレスを感じることが多くありました。そして、対立する先輩の間で板挟みになってしまったことが最後の一撃となり、私はいつしか職員室で無言で仕事をするようになりました。

「今すぐ病院に行かなきゃ」という衝動

 上記のことで、周りの人たちとコミュニケーションを取ることが苦痛に感じていた頃のことです。朝の通勤途中の車の中で突然、胸の奥がぎゅーっと締め付けられるような不快感を覚えました。それと同時に、その場にいられない、どこに身を置いたらよいか分からないような恐怖感が襲ってきました。自分の本能が、これはただ事ではないと告げているような気がしました。焦った私は、その日のうちに近くの心療内科に電話をかけました。しかし、初診は一か月後の予約しか取れず、それまでの間、じっとこの不快感と恐怖感に耐えて過ごすことになりました。

 初めての診察では、意外と冷静に自分の状態を話すことができました。うつ病だと言われる覚悟はできていました。そして、先生から告げられたのは、「軽度のパニック障害」。テレビでこの障害に苦しんでいる方の特集を見たことがあったので、何となくイメージはできました。この時初めて処方された薬が、ここでお話するパキシルCR錠です。CR錠はパキシルという薬の後進の薬で、緩やかに体内に吸収されるように改良されたものと説明を受けたので、安心して飲むことができそうだと少しほっとしました。パキシルとは、SSRIと呼ばれる抗うつ剤の一種です。脳内の神経系に働きかけ、セロトニンを増加させる働きがあります。セロトニンと聞くと、幸せホルモンを連想しますが、パキシルを飲むことにより不安な気持ちを楽にする作用があるそうなので、そのネーミングも一理あると思います。初めの処方量は12.5mgの1錠でした。徐々に増やしていくからと先生は言いましたが、この薬に対する私の限界は、たったの2錠でした。我慢強い私でも、2錠が限界。体の限界ではなく、心の限界でした。

楽しさや嬉しさを感じない

 パキシルCR錠を飲み始めてすぐ、少しだけ口の渇きと体が火照った感じが気になるようになりました。それらは少し違和感を感じる程度で、私の中で大した問題ではありませんでした。

 しかし、そのまま飲み続けていくと、目の前で起こっている事や感じている事が、自分自身の出来事だと感じなくなってきたのです。当時の私は、第三者が少し離れたところから自分を見ているようだと主治医に説明しました。どんな事も、何故かどこか他人事なのです。それは教員という職業上、致命的でした。大好きだった子どもたちと過ごす時間が楽しく感じないのです。心から笑えない、笑顔を作らなきゃっていつも思っていました。そして、楽しさや嬉しさを感じないだけでなく、深い闇に落ちていくような悲しみも、突発的な気分の落ち込みも感じなくなりました。良く言えば感情の起伏が穏やかになり、心が一定の場所に落ち着いたようですが、悪く言えば感情がない。私は戸惑いを感じました。しかし、毎日が楽しくなくても苦しい思いをしないで生きていけるなら良いとさえ思ってしまうこともありました。

自分に合った薬で治療することの大切さを実感

 3か月ほど葛藤を続けながら服用を続けましたが、環境も自分も変わらない中で、薬にだけに頼ることが本当の治療であるわけがないと、パキシルCR錠の断薬を決意しました。主治医にそのことを告げると、別の薬への変更を勧められたので、まだ薬なしでいられる状態でないのだと思い、素直に従うことにしました。

 2か月間の減薬期間には、パキシルCR錠を減らしていく代わりに、新しい付き合いになるリーマス錠の量を少しずつ増やして服用しました。パキシルの離脱症状としては「シャンビリ」がありました。これは体に静電気が通るように、頭の先から足先までビリっとする症状ですが、ふとした瞬間に何度もありました。しかし、パキシルにより楽しさや嬉しさを感じなくなるよりはマシだと思い、我慢をしました。次の薬に代わっていくにつれて、前のような落ち込みやストレスは増えましたが、何となく毎日が生きやすくなりました。自分が自分に戻ったのだと思うと、少しだけ気持ちが明るくなりました。

 同じくパキシルを服用されている方の体験談や自分の経験を通して、パキシルの効果の即効性とその効力の強さから、うつ病にはまずパキシルといった処方がされがちなのではないかと感じています。私は現在の執筆中に至る4年間、様々な薬を試しましたが、SSRIの薬では全て嫌な思いをしました。現在は、薬ももうすぐ服用が終わるくらい、とても元気です。治療中の方々が自分の心と体に合った薬と出合われることを、遠くからですが祈っています。

[参考記事]
「パキシルの副作用で過食症になり100キロの巨漢に」

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