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てんかんの薬デパケンの副作用で傾眠状態が続いた患者の事例

 

この記事は30代の看護師に書いていただきました。

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●初めての痙攣発作にて救急搬送された患者A様

 10年ほど前ですが、私が実際に経験した症例です。当時私はICU勤務をしておりました。ある日、路上にて男性が倒れていて痙攣しているとのことで救急搬送されました。病院到着後も全身痙攣が続いていたため、静脈注射による鎮静剤投与が行われ、直ぐに痙攣は治まりました。

 経過観察のため入院となった患者Aさん(60代)から詳しく話を聞くと、初めての痙攣とのことでした。また特に既往歴もなく初めての入院でもありました。

●デパケン内服が開始

 初めての痙攣、原因として入院前は独り暮らしで仕事もされており、生活習慣の乱れ、寝不足も重なり、体内の血液バランスが崩れたことによる痙攣が考えられました。治療薬としてデパケン(抗てんかん薬)の内服が開始となりました。

 入院中は朝6時頃に起床。朝、昼、夕食もほぼ完食し、デパケンを内服し、22時に就寝という規則正しい生活でした。入院2日目までは痙攣もなく意識もはっきりしている状況でした。

●意識晴明から傾眠傾向へ

 Aさんのデパケン内服開始から3日目、朝からアクビが多く、昼寝をするようになりました。声をかければ「何か眠たくて」と言いながら起きるのですが、4日目の昼前には声をかけても起きず、揺さぶってやっと起きる感じでした。会話は成り立ちましたが終始傾眠気味になっていました。

●デパケン内服を中止

 主治医に3日目から傾眠が続いていることを主治医に報告し、Aさんの様子を診察しに部屋を訪れました。入院3日目の採血の検査結果は特に異常な数値は出ていませんでしたが、主治医はデパケンの内服を中止しました。デパケンの添付文書には傾眠が副作用として報告されています。

主な副作用は傾眠582件(5.5%)、失調・ふらつき383件(3.6%)、嘔気・悪心・嘔吐274件(2.6%)、食欲不振182件(1.7%)、胃腸障害157件(1.5%)、全身倦怠感73件(0.7%)等であった。

デパケンの添付文書より引用

●患者Aさんの傾眠傾向はなくなった

 デパケンの内服を中止して1日目、体を揺さぶってやっと起きる状況だったAさんは以前のように6時に起床、毎食完食し、22時に就寝という、元のAさんのに戻りました。昼前に傾眠、アクビがよく出るということもなくなりました。

●デパケンの副作用

 デパケンは抗てんかん薬、躁状態改善薬等として使用されます。しかし副作用として肝機能障害、消化器障害、皮膚症状、精神の症状が挙げられます。

 今回の患者Aさんはデパケンの内服を開始から3日目頃より傾眠の症状が現れました。これは副作用である肝機能低下に伴う意識障害が考えられました。肝臓は体内の毒素を解毒する機能があります。その肝臓が上手く機能できない状態となり毒素が体の中に溜まってくると意識障害等の症状が出ることがあります。

 患者Aさんは内服を中止する事で症状が改善されました。薬には副作用が必ずあるものです。内服している本人は気がつかない事もあるので入院中に開始される薬の効果やその他の症状については看護師が日々気をつけていかなければいけないと感じる症例でした。

●その後の患者Aさん

 患者Aさんはデパケンの内服を一時中止しましたが、その後痙攣が出現することなく退院されました。通院外来でも問題なく経過されています。

[参考記事]
「膀胱炎の薬クラビットの副作用で筋肉が収縮し、救急車で病院へ」

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