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向精神薬の副作用により自殺したいと感じるようになり服薬中止

 

この記事は看護師の方に書いていただきました。

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 私は看護師をしています。精神科の病院に勤務した経験があるのですが、その時に向精神薬の副作用に苦しんでいた患者さんを数多く見かけました。向精神薬は様々な副作用が出現することが多く、それによって薬の変更を余儀なくされることがあります。

 ここで取り上げるのはジェイゾロフトという抗うつ薬です。このジェイゾロフトは簡単に説明すると脳内のセロトニンという神経伝達物質を増やす薬です。セロトニンは精神の安定と睡眠に深く影響します。その作用によってうつ状態を改善することが出来ます。しかし当然副作用も多く存在します。ここではある患者さんを例にあげて見ていきましょう。

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うつ状態の発症

 Aさんは38歳、男性の患者さんです。家族は妻と子供2人の4人家族です。Aさんは真面目な性格で、会社でも家でも信頼される存在だったようです。発病前にAさんは会社内で昇進し、仕事量と責任が増してきました。残業も増えて、次第にストレスを強く感じるようになりました。そして夜になかなか眠れない、意欲が湧かない、食欲が出ないなど、抑うつ症状が目立ってきました。

 ある時突然「死にたい」と感じ、妻に相談し精神科を受診されたのです。抑うつ状態の場合、抗うつ薬を使って通院しながら治療するのが一般的ですが、Aさんの場合は「自殺したい」と感じる希死念慮が強かったため、入院して治療を行うことになりました。

ジェイゾロフトによる治療の開始

 Aさんに抗うつ薬であるジェイゾロフトが処方され治療が開始されました。この時のAさんはうつ症状が強く、ほぼ一日中ベッドで横になっている状態です。食欲もなく、夜もあまり眠れない様子でした。スタッフの声掛けにもほぼ返答はなく、首や手を振って答えるような状態です。

 そして治療を開始して2日経ってから急に落ち着きがなくなり、興奮するような様子がみられました。Aさんからも眩暈がすると訴えがあり、「どうにもならないくらい苦しい」という発言も聞かれたのです。同室患者の足音などの些細な音にも敏感に反応し、突然びくびくすることもありました。そしてついにパニック状態となり、医師の指示によりジェイゾロフトは服薬中止となりました。Aさんを苦しめたこれらの症状こそセロトニン症候群といわれる副作用だったのです。

セロトニン症候群による副作用

 セロトニン症候群とは抗うつ薬により、脳内のセロトニンの量が過剰となり起きる副作用です。不安感、焦燥感、混乱、不眠、些細な音に敏感になる、眩暈、身体の震えなどの症状として現れます。セロトニン症候群が起きると服薬は即中止されるのが一般的です。Aさんもジェイゾロフトの与薬が中止され、別の抗うつ薬であるリフレックスという薬が処方されました。この薬はAさんに合ったようで、初期症状の強い眠気以外はそれほど強い副作用を起こすことはありませんでした。約1か月入院治療後症状は軽快し、Aさんは退院され職場にも復帰されました。

 抗うつ薬には三環系抗うつ薬、四環系抗うつ薬、SSRI(選択的セロトニン再取込阻害薬)、SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取込阻害薬)、NaSSA(ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬)などがあります。作用機序も違えば副作用も違います。ジェイゾロフトはSSRIと区分される薬で、副作用が比較的少ないとされています。しかし実際には個人差が非常に強く、その人によって合う薬と合わない薬があります。合わない薬の場合、Aさんのように非常につらい副作用を引き起こします。

 薬の効き目である主作用よりつらい副作用の方が強い場合は、医師の指示のもとでいち早く服薬を中止する必要があります。向精神薬の場合、薬の副作用によって衝動的に自殺してしまうケースもあります。そういった最悪の事態を避けるためにも、早めに副作用に気付くことが大切です。

[参考記事]
「抗うつ薬ジェイゾロフトの副作用で数十回にわたり自殺未遂」

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