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乳がん体験記 森さん編④針生検で17ミリの悪性の癌と判明

 

この記事は「乳がん体験記 森さん編③針生検はなかなかの痛さがある」の続きです。
…………

帰省先から戻ってすぐ、私は病院へ針生検の結果を聞きに行きました。特に心配もしていないので、もちろん一人です。ただ、予感めいたものがあったのでしょうか。車を運転しながら、ふと、家族のことを思いました。私の家族は、夫と幼い娘。3人の小さなファミリーです。それが、急に愛おしく感じました。家族みんなでどこかへ遊びに行ったり、おいしいものを食べたり、楽しむことを追求してきたように思えますが、家族が共にいる普段の何気ない日常があること……それだけで、幸せなのかも知れないな、と。

そして、何となく、家族が離れ離れになった時のことを想像して、淋しさがこみあげてきました。どうして突然そんなふうに思ったのかわかりませんが、泣きたくなるような、胸の痛みでした。

やがて病院に着き、受付を済ませますが、30分経たないうちに呼ばれました。

開口一番、私の顔を見た先生の言葉は、

「ひとりで来たの?」 

でした。

「……はい」

戸惑いましたが、その言葉が何を意味しているのか、ここまでのんきに構えていた私も、理解しました。

先生の前に腰かけると、

「結果は、ガンでした」

単刀直入に、言われました。

良性だと思っていたしこりは、悪性だったのです。びっくりしましたが、心のどこかでそんな気がしていたのかも知れません。意外と、冷静な自分がいました。

「治療が必要です」

先生は、表情を変えずに淡々と言います。

つまり、手術をするということ。入院は1週間ほどで済むということでした。でも、入院と聞いて私の頭に浮かんだのが、子供のこと。夫は介護職で不規則な勤務。おまけに子供の世話はあまり得意ではない。近くに住んでいる実母は、高齢でひとり暮らし。飼い犬がいて、散歩にも連れ出さなければならない。

それに、幼稚園では夏休み直前に納涼祭があります。私は納涼祭役員になっており、しかもクラス代表でしたから、そのことも気がかりでした。毎週の会議を重ね、納涼祭の準備は、進みつつあります。今さら、代表を降りるなんてこと、できそうもありません。どうしよう……。

気がかりなことを先生に話したら、パソコンの画面に「子供……3歳……」という文字が見えました。子供や幼稚園のことを先生に話したからといって、何も解決できるわけではありませんが、そんなことも記録してくれて、少し嬉しく思いました。

私のガンは、大きい方が17ミリ。ステージは1でした。

「根治を目指します」

その先生の言葉は、心強いものでした。
 

検査結果を聞いて、その日はすぐに帰れるものと思っていましたが、その後、血液検査、心電図、レントゲンに回されてしまいました。検査を待つ合間に、夫と母に携帯からメールをしました。実は、この日は、母の誕生日。お祝いのメールを送りたかったのに、悪い知らせを送らなければならなくなってしまって、申し訳ない気持ちでした。

乳がんだったよ、なんて書いたらびっくりさせてしまうだろうから、できるだけ、やんわりと……悪性だった。でも、初期だから大丈夫だよ。そう。私は、大丈夫。別に、涙が出るわけでもなく、取り乱しているわけでもなく、落ち込んでいるわけでもなく。ただ、ただ。娘の顔だけが、脳裏に浮かんでいました。乳がん。現実なんだなあ……。

続きは「乳がん体験記 森さん編⑤RIとCTの検査が始まる」

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