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プリンスさんの死因である鎮痛剤依存とは。米国で年間3万人の死者

アメリカの有名なミュージシャンであるプリンスさんが、2016年4月21日に57歳で亡くなりました。
プリンスさんは、ミネソタ州の自宅兼スタジオで、遺体で発見されましたが、その死因は合成オピオイド系の鎮痛剤であるフェンタニルの過剰摂取が原因だったとのことです。
プリンスさんは、本名Prince Rogers Nelson(プリンス・ロジャース・ネルソン)、アメリカのミネソタ州ミネアポリスで生まれ、楽器の演奏から作曲、編集やプロデュースなどを自ら行い、多くのミュージシャンに影響を与えたカリスマ的存在です。
アルバムの代表作には1999やパープル・レインなどがあります。

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オピオイド系の鎮痛剤とは

オピオイドとは以下の化合物の総称で、天然、合成問わず鎮痛作用があります。
〇ケシの実から抽出される有機化合物。
そして、この天然の有機化合物から作られる合成化合物。
〇上の化合物と同じ作用を持つエンドルフィンなどの体内物質

代表的なオピオイド系の化合物に、モルヒネやオコシコドンなどがありますが、日本では主に末期がんの患者さんの鎮痛剤として使用されていることで知られており、かなり強力な作用を持ちます。
これらは、脳や脊髄、末梢神経に存在するオピオイド受容体に結合して鎮痛作用を示します。

プリンスさんが常用していたのは、フェンタニルという合成オピオイドの一種で、モルヒネの100倍以上の薬効があるとされ、毒性も強いものです。
WHO方式がん疼痛治療法(癌の痛みを緩和するためWHOが定めた治療法)で、鎮痛剤は3段階の強さに分けられていますが、フェンタニルは一番上である3段階目(一番強い痛みの時に使う)に入るので相当強力な薬物です。

また、プリンスさんは、フェンタニルのほかに、オピオイド系の化合物であるオキシコドン(WHO方式がん疼痛治療法の3段階目)、さらに市販薬にも含まれるアセトアミノフェン(WHO方式がん疼痛治療法の1段階目)も使用していたようです(こちらも依存性が高い)。
これらの鎮痛剤の過剰摂取でプリンスさんは病院に緊急搬送されました。

アメリカではオピオイド系の薬物乱用が問題に

プリンスさんは、長いこと股関節の問題を抱えていて鎮痛剤に依存していましたが(2013年の統計では190万人の米国人が鎮痛剤に依存)、アメリカでは鎮痛剤の過剰摂取による死亡が多く、社会問題になっています。
プリンスさんが使用していたオピオイド系の鎮痛剤で亡くなった人は、
〇アメリカ全国保険統計センターによると2014年に約1万9000人
〇米疾病対策センターによると2014年に約2万9000人。
これらの2つの統計のうち、どちらが正しいかは分かりませんが、どちらにせよ決して少ない数ではありません

アメリカでは、オピオイド系の鎮痛剤は、手術後の痛みから慢性的な痛みまで幅広い目的で使用されますので、医師の処方があれば簡単に手に入れることができる身近な存在となっています。
これらの鎮痛剤がきちんとした管理の元で使用されているとは限らず、乱用した場合には最悪、呼吸困難になり死に至ります。

[補足1]
強力な鎮痛剤であるオピオイド系のモルヒネやオキシコドン、フェンタニルは、日本では「麻薬及び向精神薬取締法」という法律で「麻薬」に指定されていますので厳重な管理下に置かれます。

[補足2]
日本では東京女子医科大学病院で鎮痛剤の誤使用で死者が出ています。
本来、人工呼吸を行っているときには子供には使っていけない「プロポフォール」を投与したせいで、5人の幼い命が失われています(この鎮痛剤で11人の子供が亡くなっていますが、このうち5人は鎮痛剤の誤使用の疑いがあるとのことです)。

弱オピオイド系の鎮痛剤

オピオイド系の鎮痛剤にも種類があり、「コデイン」や「トラマドール」という種類はモルヒネやフェンタニルに比べて薬効が弱い「弱オピオイド」に該当します。
トラマドールは、モルヒネと比べると効き目は穏やかで、オピオイド系の薬剤の中でも、医療用麻薬には規定されておらず、副作用も比較的出にくいと言われています。
ドラマドールに関してはネットで購入可能なものも一部ありますが、乱用するといくらモルヒネよりは薬効や副作用が弱いとはいえ、依存性が出てくる可能性もあります。

また、コデインは、痛み止めだけでなく、咳止めや下痢の改善の薬としても使われます。
低濃度のコデインが含有されている咳止めシロップなどは、処方箋がなくても購入できるので、日常的に服用している場合は、過剰に使いすぎないように注意が必要です。

軽度の痛みには非オピオイド鎮痛剤

軽度の痛みの場合は、オピオイド系ではなく、非オピオイド系の鎮痛剤であるアスピリン、アセトアミノフェン、イブプロフェンなどを通常は使用します。
オピオイド系のような強力な鎮痛作用はありませんが、副作用も少なく、痛みの度合が軽いものでしたら、第一選択として非オピオイド系の薬を使用します。

アスピリンは解熱性鎮痛剤であり、炎症を起こすプロスタグランジンという物質ができるのを阻害して、痛みを抑える効果があります。
市販薬で馴染み深いのは、バイエルアスピリン(ライオン)、バファリンA(ライオン)などではないでしょうか。
そのほか、ロキソニンS(第一三共)、新セデス錠(塩野義)なども市販薬としては有名な痛み止めです。
ちょっと頭痛がするので痛み止めが欲しいなどと軽く思わないで、「鎮痛剤とは怖い薬物」という認識を持ってください。

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